セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会：ロンドンの歴史と音楽が交差する聖地

ロンドンのトラファルガー広場の北東に位置するセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会は、イングランド国教会に属する歴史的な教会です。トゥールのマーティンに献堂されたこの教会は、その起源を13世紀まで遡ります。1222年の創建当時、周辺は牧草地が広がる開けた場所であったことから、現在の名前が付けられました。

初期の教会はその後、16世紀と17世紀に改築されましたが、現在の建物は18世紀初頭、スコットランド出身の著名な建築家ジェームズ・ギブスによって設計されました。ギブスは、中央にそびえ立つ高い尖塔を加え、新古典主義とバロック様式を巧みに融合させた、見事な建築物を完成させました。この洗練されたデザインは、北米植民地の多くの教会建築にも影響を与えたと言われています。

セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ教会は、イギリス王室とも深いつながりがあります。教会内部にはイギリスの国章が飾られ、ジョージ1世から寄贈されたオルガンも大切に保存されています。18世紀には、かの有名な作曲家ヘンデルとモーツァルトもこの教会でオルガンを演奏したという歴史的な記録が残されています。

第一次世界大戦後、この教会は新たな役割を担うことになります。ディック・シェパード牧師の尽力により、歴史的な納骨堂が、戦後帰還したホームレスの兵士たちのためのシェルターとして開放されました。現在では、この教会は、コンサートや様々な会合、社会的企業の活動拠点として、現代社会においても重要な役割を果たしています。

音楽活動も盛んなこの教会は、室内編成のオーケストラであるアカデミー室内管弦楽団の本拠地でもあります。1959年に最初の演奏会が開催されて以来、数多くの演奏会がここで行われ、人々に感動を与え続けています。夕方にはキャンドルライト・コンサートが、ランチタイムには無料の演奏会が定期的に開催されており、音楽好きにはたまらない空間となっています。

ロンドンの観光名所の一つでもあるこの教会は、地下鉄チャリング・クロス駅またはレスター・スクエア駅から徒歩5分ほどの場所に位置しています。歴史と音楽、そして現代社会の活動が融合する、ロンドンを代表する教会と言えるでしょう。トラファルガー広場を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その荘厳な建築と豊かな歴史に浸ってみてください。

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