ゼタ公国

ゼタ公国：中世後期のバルカン半島に存在した国家

ゼタ公国は、中世後期に現在のモンテネグロ南部とアルバニア北部にあたる、シュコダル湖周辺地域を支配した公国の歴史的な呼称です。この地は元々セルビア帝国の帝冠領でしたが、帝国の衰退に伴い、1360年代以降にバルシッチ家が独立を果たし、公国として歩み始めました。

バルシッチ家の統治

バルシッチ家は、ゼタ公国を最初に統治した一族です。

バルシャ1世 (1356年–1362年)：公国の基礎を築いた初代君主。
ジュラジ1世 (1362年–1378年)：バルシャ1世の後を継ぎ、公国の勢力拡大に努めました。
バルシャ2世 (1378年–1385年)：領土の維持に苦心しました。
ジュラジ2世 (1385年–1403年)：オスマン帝国の侵攻に抵抗し、公国の独立を維持しました。
バルシャ3世 (1403年–1421年)：バルシッチ家の最後の君主。

セルビア専制公国の支配

バルシッチ家の断絶後、ゼタ公国はセルビア専制公国の支配下に入ります。

スティエパン・ラザレヴィチ (1421年–1427年)：セルビア専制公としてゼタを統治しました。
ジュラジ・ブランコヴィチ (1427年–1451年)：スティエパンの後を継ぎ、ゼタを統治しました。

ツルノイェヴィチ家の統治

その後、ツルノイェヴィチ家が台頭し、ゼタ公国を支配します。

スティエパン1世ツルノイェヴィチ (1451年–1465年)：ツルノイェヴィチ家の初代君主として、公国の再興に尽力しました。
イヴァン・ツルノイェヴィチ (1465年–1490年)：オスマン帝国の侵攻に抵抗しつつ、公国の文化・経済の発展に貢献しました。
ジュラジ・ツルノイェヴィチ (1490年–1496年)：公国の独立維持に努めましたが、オスマン帝国の圧力に屈しました。
スティエパン2世ツルノイェヴィチ (1496年–1498年)：ツルノイェヴィチ家の最後の君主。彼の治世の末期に、ゼタ公国はオスマン帝国に征服されました。

15世紀末、オスマン帝国の侵攻により、ゼタ公国はその歴史に幕を閉じました。しかし、その名はモンテネグロの歴史と文化の中に深く刻まれ、後世にまで語り継がれています。

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