ジュラジ・ツルノイェヴィチ

ジュラジ・ツルノイェヴィチ（生没年不詳、1514年没）は、15世紀後半のゼタ公国の支配者です。彼は、イヴァン・ツルノイェヴィチとゴイサヴァ・アリアニティの息子として生まれました。ジュラジは、南スラヴ諸国における最初の印刷所であるツルノイェヴィチ印刷所を設立したことで、歴史に名を残しています。彼は自らを「ゼタ公」と称し、その短い統治期間において、政治的な業績よりも文化的な貢献が際立っています。

ジュラジは教育の振興に力を注ぎ、天文学や幾何学をはじめとする多くの科学分野において、高度な知識を有していたことで知られています。しかし、1496年にオスマン帝国によって公位を追われ、その後ヴェネツィア共和国によってオスマン帝国への協力者として一時的に投獄されるなど、政治的には不遇な時期を過ごしました。1499年には遺言状を書いていますが、この遺言状は当時の文学作品として高く評価されています。

1500年春、ジュラジはフェリズ・ベグの誘いを受け、イスタンブールへ赴き、スルタンのバヤズィト2世に地位を返還しました。その代わり、アナトリア半島にティマールを与えられ、スィパーヒーとしてその地を治めることとなりました。

政治的な面では必ずしも成功したとは言えませんが、ジュラジ・ツルノイェヴィチの文化的遺産は、セルビア文学史において重要な位置を占めています。ヒエロモンク・マカリイェの協力を得て、1490年代には5冊の書籍を印刷しました。これらの書籍は、モンテネグロの貴重な文化遺産となっています。

Oktoih prvoglasnik (1493/94年)
Oktoih petoglasnik (1494年)
Psaltir s posljedovanjem (1495年)
Trebnik (祈祷書、1495/96年)
* Četvorojevanđelje (おそらく1496年)

ジュラジ・ツルノイェヴィチの家系は、アルバニアの英雄スカンデルベグと繋がりがあります。父方の祖母はスカンデルベグの姉妹であり、母方の祖父はジェルジ・アリアニティ、叔母はスカンデルベグの妻ドニカ・カストリオティです。彼の生涯は、政治的な動乱と文化的な創造性が交錯する時代を反映しており、後世に大きな影響を与えました。

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