ゼルボーニ音楽出版社

ゼルボーニ音楽出版社

ゼルボーニ音楽出版社（Edizioni Musicali Suvini-Zerboni）は、イタリアに拠点を置く主要な楽譜出版社の一つです。正式名称はズビニ＝ゼルボーニ音楽出版社ですが、一般には単にゼルボーニと略称で呼ばれることが多くあります。

この出版社は1907年に創業しました。設立当初は、フランツ・レハールのオペレッタ作品を取り扱うことを主な目的としていました。しかし、その歴史の中で、特に20世紀後半から現代にかけてのイタリア音楽における重要な役割を担うようになります。

ドナトーニ、ダッラピッコラ、ベリオ、カスティリオーニ、アルド・クレメンティ、デル・コルノ、タッカーニ、モスカといった、20世紀イタリアを代表する現代作曲家たちの作品が、ここから数多く刊行されてきました。これは、現代音楽の発展と普及において、ゼルボーニが果たした貢献の大きさを示しています。

現在も、ゼルボーニ音楽出版社は多数の現代作曲家を擁し、その多様な作品を出版しています。楽譜出版が中心であることに変わりはありませんが、それだけでなく、音楽に関する専門的な書籍や理論書も手がけています。例えば、「現代のハープ」、「16世紀の対位法」、「バッハ時代の対位法」、「木管楽器の新しい音」といった分野の専門書が出版されており、音楽教育や研究にも貢献しています。また、マリー・シェーファーやパウル・ヒンデミットといった著名な音楽家・理論家の重要な著作も翻訳して出版するなど、幅広い出版活動を行っています。

出版事業の特徴としては、国際的な作曲コンクールの副賞として作品を出版するなど、新しい才能の発掘・支援にも積極的な姿勢を見せている点が挙げられます。さらに、ドイツのショット社など、他の著名な出版社と同様に、特定の作曲家と長期的な信頼関係を築き、「看板作曲家」としてその活動を支えるスタイルをとっています。代表的な「看板作曲家」としては、ルイス・デ・パブロ、イヴァン・フェデレ、ステファーノ・ジェルヴァゾーニ、ジョルジォ・コロンボ・タッカーニなどが挙げられます。

このように、ゼルボーニ音楽出版社は、創業以来の長い歴史を通じて、特に現代音楽を中心とした楽譜出版、そして音楽教育・研究に資する専門書の刊行を通じて、イタリアのみならず世界の音楽界に大きな影響を与え続けている出版社と言えるでしょう。

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