ソカタ TB

ソカタ TB シリーズについて

ソカタ TB シリーズ（SOCATA TB）は、1970年代後半から2000年代にわたり、フランスの航空機メーカーSOCATAによって製造された軽飛行機です。このシリーズは、1960年代から同社で販売されていたソカタ ラリーシリーズの後継として開発されました。TBという名称は、主にフランス南部の町タルブで生産されたことに由来しています。

TBシリーズは、低速ながら安定した性能と優れた操縦性を特徴としており、そのため練習機や観光目的のツーリング機として広く利用されてきました。1979年には最初の量産モデルが販売され、2012年まで続けられました。2023年現在では、同系列の後継機であるソカタ TBMシリーズが販売されています。

開発の経緯

TBシリーズの開発は1970年代の中頃に始まりました。目標は、ソカタの主力製品であったラリーシリーズの後継機を製造することです。1977年の9月23日には、160hpのライカミングO-320エンジンを搭載したプロトタイプが初飛行を行いましたが、その後のテスト中に墜落事故が発生しました。これを受けて、2機目の試作機には180hpのエンジンが装備され、テストが続けられました。

1979年4月26日には、最初の量産モデルとしてTB-9 タンピコとTB-10 トバゴが型式証明を取得し、順次生産が開始されました。1980年11月には、派生機種であるTB-20 トリニダードが初飛行に成功し、同年内に型式証明を獲得しています。この時期から2000年代後半にかけて、TBシリーズの各モデルの生産が続きました。

モデルの発展

2000年代初頭にかけては、各主要モデルに対してバージョンアップが行われ、「GT」という名称が付けられたモデルも登場しました。これらのGTモデルは、キャビンや主翼の形状、尾翼などの外観にいくつかの変更が加えられました。

しかし、2001年のアメリカ同時多発テロ事件による世界的な経済不況が影響し、2000年代初頭にはTBシリーズの販売が徐々に鈍化。2003年には一部モデルの見込み生産が打ち切られ、製造コストダウンの方法が模索されることとなりました。2004年には、パリの営業・販売拠点がタルブの製造工場に統合され、2007年には製造拠点がルーマニアのバカウに移転すると発表されました。

この間、新規のTBシリーズの生産数は限定的となり、2008年には完全受注生産に切り替わり、最終的に2012年にソカタ社のカタログから姿を消しました。なお、既存機に対するサポートやバージョンアップは今も行われています。

型式と派生機型

TBシリーズにはいくつかのモデルが存在し、それぞれ別の特徴を持っています。例えば、最初の量産モデルの一つであるTB-9 タンピコは、4人乗りで160hpのライカミングエンジンを搭載しており、固定式の着陸装置を備えています。また、TB-10 トバゴは180hpのエンジンを搭載し、4人または5人乗りの選択肢があります。

さらに派生型としては、TB-20 トリニダードがあり、こちらは250hpのエンジンを搭載し、格納式の着陸装置を装備しています。その他にも、様々なマイナーモデルチェンジや特化型が存在し、ニーズに応じた機体の選択が可能でした。

最近では、TBシリーズは練習目的や観光など、多岐にわたって利用される軽飛行機として定着し、多くの航空ファンやパイロットに親しまれています。

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