ソチ・オートドローム

ソチ・オートドロームについて

ソチ・オートドローム（ロシア語: Сочи Автодром）は、ロシア・クラスノダール地方のリゾート地ソチに位置するサーキットです。2014年に行われた冬季オリンピックのメイン会場を利用したこのサーキットは、F1ロシアグランプリの開催地としても知られています。また、開業前は「ソチ・インターナショナル・ストリート・サーキット」や「ソチ・オリンピックパーク・サーキット」としても呼ばれていました。設計は著名なサーキットデザイナーであるヘルマン・ティルケによって手がけられています。

特徴・コースの構成

ソチ・オートドロームは全長5.848kmのロード/ストリートコースで、コースの内1.7kmは公道を活用しています。コースは、オリンピック開催後の施設を有効利用したビジュアルが特徴的で、黒海に面したオリンピックパークに設置されています。F1の現在のコースの中では、スパ・フランコルシャン、バクー市街地コース、シルバーストンに次ぐ長さとされています。コースは全19コーナーで構成されており、スタート/フィニッシュラインはオリンピックパークの北端にある駅の近くに設定されています。

コース設定では、特に五輪のメダル授与式が行われる中央広場を通ることが印象的です。また、ボリショイ・アイス・ドーム、アイスキューブ・カーリングセンター、アドレル・アリーナ、アイスバーグ・スケート・パレスなど、厳選された競技施設の周りを巡るように設計されています。

コースの難易度と特徴

このサーキットはそのデザインにおいて鋭角コーナーが多く配置され、コース両側にはコンクリートウォールが並んでいるため、ドライバーにとってはコントロールの難しいコースとなっています。特にバックストレートエンドのターン14では、ドライバーが急減速する必要があり、コントロールを誤るとバリアに衝突する危険があります。実際に、2015年にはカルロス・サインツJr.がそこで事故を起こし、病院に運ばれるという事態も発生しました。

一方で、路面は非常にスムーズであり、タイヤへの負担が少なく、レース中にタイヤ交換を行ったニコ・ロズベルグがそのままレースを完走した例もあり、戦略的な面白さを併せ持っています。

今後の見通し

2023年からはサンクトペテルブルク近郊のイゴラ・ドライブ・サーキットに開催地が移転する予定であり、ソチ・オートドロームでのロシアグランプリは2022年が最後になると考えられていました。しかし、2022年はロシアのウクライナ侵攻の影響でロシアGPの開催が中止となり、それ以後のF1ロシアグランプリの開催は未定となっています。更に、同年にはFIA インターコンチネンタル・ドリフティング・カップも予定されていましたが、同様の理由で中止されることとなりました。

建設の歴史

2010年10月には、ロシアのプーチン大統領によってロシアGPが2014年から2020年まで開催される契約が発表されました。サーキットの建設費用は約2億ドルと見積もられ、政府がその多くを負担することが決まりました。ただし、建設会社の破産や運営会社の交代など、様々な困難がありました。同年はロシアの国際的な立場に関して多くの問題が取り沙汰されましたが、それでもF1は金銭面の問題がなく、開催されることとなりました。

このようにソチ・オートドロームは、国際的なスポーツイベントの舞台としての意義と共に、サーキットとしても多彩な魅力を持っていたことがわかります。

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