ソテジワアイドゥル

ソテジワアイドゥル（朝鮮語: 서태지와 아이들）は、1991年に韓国で産声を上げ、1992年春から1996年半ばまで精力的に活動を展開した男性3人組グループである。グループ名は、リーダーであるソ・テジ氏の名前に、朝鮮語で「〜と」を意味する「ワ」、「子供たち」を意味する「アイドゥル」を組み合わせたものであり、日本語では「ソテジと仲間たち」といったニュアンスを持つ。彼らは発表した全ての正規アルバムがミリオンセラーを記録するという空前絶後の偉業を成し遂げ、当時の韓国音楽シーンに革新をもたらした。それまでバラードやトロット（韓国演歌）が主流であった状況を一変させ、ヒップホップやR&B、ダンスポップといった新たな潮流を確立。現在のK-POP隆盛への礎を築いた、極めて重要な存在として位置づけられている。

経歴

1991年9月、グループは結成された。翌1992年3月14日、ソ・テジ、イ・ジュノ、ヤン・ヒョンソクの3名で待望のデビューを飾る。デビューアルバムである1集『Yo!Taiji!』に収録された楽曲「僕は知っている (난 알아요)」が大ヒットを記録し、アルバムは150万枚以上の販売を達成。彼らは瞬く間にその年のトップスターへと駆け上がった。このアルバムは、韓国で初めてラップ音楽を商業的に大きな成功に導いた作品として高く評価されている。彼らが生み出したラップブームは、DEUX、DJ DOC、キム・ゴンモ、Roo'Raといった後続のアーティストたちにも引き継がれていった。

1992年12月には、ミニアルバム『LIVE & TECHNO MIX』を発表。

1993年6月、2集『何如歌 (하여가)』をリリース。このアルバムも200万枚を超える売り上げを記録した。タイトル曲である「何如歌」は、韓国の伝統音楽にラップやヘヴィメタルといった異ジャンルの要素を大胆に融合させた実験的な楽曲でありながら大ヒットとなった。このアルバムの発表後、彼らは一時的に日本での活動も行い、日本のテレビ番組でも紹介された。

1994年1月には、前年末のクリスマスコンサートの模様を収めたライブアルバム『最後の祝祭』を発売。

1994年8月、3集『渤海を夢見て (발해를 꿈꾸며)』を発表。この頃から、彼らの音楽スタイルは従来のダンスミュージックからロックへと変化していった。このアルバムのタイトル曲は、かつて朝鮮半島北部と中国東北部に存在した渤海国を、現在の北朝鮮になぞらえ、韓国社会に南北統一問題への関心を呼び起こすメッセージソングであった。当時、統一問題に無関心な傾向にあった若い世代に対し、彼らは音楽を通じて強いメッセージを投げかけた。このアルバムは予約だけで100万枚を突破したと言われている。

1995年3月、ライブアルバム『'95 TAIJIBOYS CONCERT -別の空が開いて-』を発売。

1995年10月には、反体制的なメッセージを内包する「ギャングスタ・ラップ」というジャンルを韓国音楽界に初めて紹介した4集『come back home』をリリースした。このアルバムに収録予定だった楽曲「時代遺憾 (시대유감)」が、当時の歌詞検閲制度によって不適当と判断されるという問題が発生する。これに対し、彼らはアルバムから該当曲の歌詞を全て削除して発売するという異例の措置をとった。この出来事は大きな波紋を呼び、韓国における出版物検閲制度の撤廃に向けた動きを加速させるきっかけの一つになったと言われている。

すでにカリスマ的な地位を確立し、人気絶頂の中にあった1996年1月、彼らは突然のグループ解散と引退を発表し、音楽界に衝撃を与えた。

1996年2月には、ベストアルバム『"THE &" GOOD BYE BEST ALBUM』が発売された。このアルバムに収録された一部楽曲では、歌詞検閲制度の影響で不適切な部分に修正（ピー音）が加えられていた。

1996年6月、出版物検閲制度が正式に廃止されたことを記念し、ミニアルバム『時代遺憾』が発売された。このアルバムには、かつて検閲対象となった同名楽曲が、初めて歌入りの完全な形で収録された。

グループ解散後、ソ・テジは1998年7月にソロアーティストとして音楽活動を再開した（その後の活動はソ・テジ個人の項を参照）。ヤン・ヒョンソクとイ・ジュノはそれぞれ音楽プロデューサーの道へ進んだ。ヤン・ヒョンソクは、後に韓国を代表する大手芸能事務所の一つであるYGエンターテインメントを設立し、その代表として多くの人気アーティストを育て上げている。イ・ジュノは、1996年から2012年まで活動した男女混成ダンスグループYoung Turks Club (영턱스클럽) のプロデューサーとして知られている。

日本での活動

ソテジワアイドゥルは、韓国での成功を経て日本でも作品を発表した。1994年10月には、アンティノスレコードより、韓国での1集と2集を組み合わせた内容の日本向けファーストアルバム『ソテジワアイドゥル』を発売。この際、プロモーションのために来日し、日本のテレビ番組にも出演した。1995年1月には、韓国での3集にあたるアルバム『渤海を夢見て』が、日本でのセカンドアルバムとしてリリースされた。

ディスコグラフィー

彼らが活動期間中に発表した主な作品は以下の通りである。

正規アルバム

1集『ソテジと子供たち1集』 (1992年3月23日) - 販売枚数約180万枚
2集『ソテジと子供たち2集』 (1993年6月21日) - 販売枚数約220万枚
3集『ソテジと子供たち3集』 (1994年8月10日) - 販売枚数約160万枚
4集『ソテジと子供たち4集』 (1995年10月5日)

ライブアルバム

『'92明日は遅れよう』 (1992年11月1日)
『Live＆Techno Mix』 (1992年11月20日)
『'93最後の祭り』 (1994年1月15日)
『'95別の空が開いて』 (1995年3月27日)

ベストアルバム

『Goodbye Best Album』 (1996年2月10日)

シングルアルバム

『時代遺憾』 (1996年7月10日) - 出版物検閲制度の廃止を記念して発売された、グループ最後の作品。

受賞歴

活動期間中、彼らは韓国の主要な歌謡プログラムにおいて数多くの1位を獲得するなど、多数の賞を受賞し、その人気と影響力を証明した。

参考文献

* 金成玟『日韓ポピュラー音楽史：歌謡曲からK-POPの時代まで』慶應義塾大学出版会 2024年

※ 本記事は、主に韓国語版Wikipediaの2004年8月22日版における記述に基づき、加筆修正の上、作成しています。

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