ソデグロヅル

ソデグロヅル (袖黒鶴)

ソデグロヅル（学名: Leucogeranus leucogeranus）は、鳥綱ツル目ツル科に属する気品ある鳥です。この鳥は主にアジアの湿地帯に生息し、その大きな姿と美しい白い羽毛が特徴です。

分布と移動

ソデグロヅルは、アフガニスタンやイラン北部、インド北部、中華人民共和国の東部、パキスタン、さらにはロシアの東部および中部など広範囲に分布しています。繁殖時期には、ロシア北東部と中部で繁殖し、冬になると鄱陽湖やインド北部、イラン北部などで越冬します。日本では冬の間、まれに飛来することがあり、これを「冬鳥」と呼びます。

形態

ソデグロヅルの全長は125～137センチメートルで、翼を広げると230～260センチメートルにもなります。頭部から顔にかけて羽毛がなく赤い皮膚が露出しているのが特徴です。その羽衣は全体的に白く、初列雨覆や初列風切りは黒色で、これが和名の由来となっています。静止しているときはこれらの部分が隠れるため、全体が白く見えます。目の虹彩は黄色や淡い黄色で、嘴は太くて長く、色は淡赤色や暗赤色、または灰赤褐色です。後肢も淡赤色です。幼鳥の場合は、翼や背部の羽毛に黄褐色が見られます。

生態

ソデグロヅルは湖沼や湿地、干潟、農耕地など多様な環境に生息しています。食性については、植物の芽や根、果実、種子を中心に、昆虫や魚、小型の哺乳類なども食べるため雑食傾向が強いです。繁殖地では動物性の食物が多いですが、越冬地や移動途中では植物を多く摂取します。

繁殖は卵生で、ペアになると頭部を上下に振りながら、翼を広げて鳴き声を交わします。1回に1～2個の卵を産み、抱卵期間は27～29日です。

人間との関係

ソデグロヅルの西部個体群にとっては、越冬地において政情が不安定なアフガニスタンやパキスタンでの狩猟が絶滅の危険因子となっています。さらに、越冬地であるイランでは漁業活動が影響を与える可能性が指摘されています。最大の越冬地である鄱陽湖では、三峡ダム建設による環境変化が懸念されており、この鳥の生息地に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

これらの問題を受けて、イランでは政府や研究者、国際的なツル財団による保護活動が行われています。また、インドにおいては越冬地がケオラデオ国立公園として保護されています。

中国ではこの鳥は国家一級重点保護野生動物に指定されており、その保護が求められています。ソデグロヅルを守ることは、生物多様性の保全にとっても重要な意味を持っています。

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