ソノシート

ソノシートとは

ソノシート（SonosheetまたはFlexi disc）は、1958年にフランスのS.A.I.P.によって開発された非常に薄いレコードのことを指します。この独特な録音盤は、通常のビニールレコードとは異なり、柔らかく曲げることも可能です。そのため、雑誌の付録や印刷された台紙に貼り付けた形で、メッセージカードとしても広く利用されてきました。

特徴

ソノシートは主にEPサイズの17cmのディスクが主流ですが、小型の8cm版も存在します。色は赤や青が一般的で、登場当初は音質がビニールに比べて劣っていましたが、経済性や再生が容易な点が評価されました。1950年代から60年代にかけて、労働者の収入が比較的少なかった時代には、高価なビニール盤の代わりとして、安価で手に入るソノシートに需要が集中しました。

この時代、シングル盤が約300円、LP盤が約1,500-3,000円程度の値段だったため、多くの人々が手軽に楽しめるソノシートに飛びつきました。後に音質も向上し、ステレオ版や両面版も登場しました。これにより、より多くのリスナーが興味を持つようになるのです。

日本における歴史

日本で最初に登場したソノシート付きの雑誌は、1959年11月に発売された『歌う雑誌KODAMA』で、すぐに人気を博しました。その後、朝日ソノプレス社が「音の出る雑誌」をテーマにした『月刊朝日ソノラマ』を発行。この雑誌にはニュースや音楽、オリジナル録音が収録され、特に子どもたちに大人気となりました。ソノシートは子供向けの英会話や音楽企画でも重宝され、低価格で楽しめるコンテンツが多く、1960年代には多くの子供たちに親しまれました。

さらに、1963年から1969年にかけて、ビートルズがファンクラブ向けに特別なソノシートを制作したことでも注目を集めました。

ソノシートの進化

1970年代から80年代にかけて、ソノシートは学年誌の付録として手回し式のプレーヤーとともに配布されました。この仕組みでは、付属の棒で回しながら音を楽しむ形式でしたが、実際には普通のプレーヤーでより高品質な音を再生できました。特に小学館の「小学一年生」は、この形式を長い間続けましたが、1991年に終了し、その後はCDが付録の主流となりました。

また1970年代末には、サブカルチャー向けの雑誌においてヘヴィメタルやテクノポップといったジャンルの付録としても人気を集めました。この動きは、読者層の新たな興味を刺激し、ソノシート文化の多様性を広げる素となりました。

終焉と現代の状況

しかし、レコードの人気が低下し、2005年には日本国内での生産が終了しました。これにより国産のソノシートは消滅し、最終的には日本国内で唯一のソノシートとして「ザ・スターリン」の作品が発表されました。その後は海外での自主制作として一部が継続されるのみとなりましたが、コレクターや一部の音楽愛好者の間で根強い人気があります。

ソノシートは、音楽の楽しみ方や情報の届け方に新たな視点を提供した特別なメディアであり、その歴史は音楽産業における革新の象徴として位置づけられています。

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