テクノポップ

テクノポップの概要

テクノポップ（Technopop/Techno Pop）は、シンセサイザーやシーケンサー、ヴォコーダーといった電子楽器を主に用いたポピュラー音楽のスタイルです。このジャンルは1970年代後半に日本で登場し、以降多くのアーティストに影響を与えました。テクノポップは「テクノロジーポップ」の略称とされ、しばしばテクノと呼ばれることもありますが、クラブミュージックのテクノとは異なるスタイルであると考えられています。

テクノポップの特長

テクノポップは、SF的なサウンドが特徴で、シンセサイザーやシンセベースに重点を置いています。最も初期のヒット曲の一つに、1972年にホット・バターがリリースした「ポップコーン」があり、Billboard Hot 100で第9位にランクインしました。また、ジョルジオ・モロダーが制作した「恋の玉手箱」も同様に電子楽器を使用していました。この時点ではまだ「テクノポップ」という言葉は定義されていませんでした。

日本のテクノポップと似たスタイルは英米では「シンセポップ」や「エレクトロ・ポップ」と呼ばれ、コンピュータを使った音楽制作は「コンピュ・ミュージック」として知られていました。このため、来日したアーティストたちは「テクノポップ」という用語を知らないことがしばしばありました。

1970年代末から1980年代初頭にかけて、イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）が大いに盛り上がり、それに続く形で「テクノ御三家」が登場しました。これによりテクノポップブームが本格化します。本格的なダンス・ミュージックのスタイルとして、テクノやハウスが挙げられますが、これらは直接的なつながりがないことが多いです。日本国内ではテクノポップとテクノの境界はあいまいで、電気グルーヴなどのグループはテクノポップに近いスタイルから開始しましたが、後にハウスやテクノの要素を強く取り入れるようになりました。

テクノポップの進化

テクノポップという言葉が初めて用いられたのは1978年で、大阪の音楽評論家阿木譲がクラフトワークのアルバム『人間解体』をレビューした際でした。坂本龍一がこの言葉を広めたことで、一般的にも認知されるようになりました。テクノポップの音楽は、当初はYMOをはじめとしたミュージシャンによって確立され、多様なスタイルを生み出しました。

1980年代には、アフリカ・バンバータをはじめとするアーティストがクラフトワークの影響を受けた曲をリリースし、テクノポップの影響は国内外で強く感じられました。しかし、1985年頃の第二次バンドブームの影響で、テクノポップは主流から外れ、新たな音楽が台頭してきました。この頃からはデジタルロックやニューエイジ音楽など、異なるジャンルが出現し、テクノポップはその中での一要素に過ぎなくなりました。

1990年代以降の動向

1990年代に入ると、テクノポップの後継となるジャンルとしてテクノが台頭し、特にケン・イシイや石野卓球などのアーティストが注目を集めました。ここで生まれた音楽は、アシッドハウスやデトロイト・テクノなどの影響を受け、多様なスタイルに進化しました。また、この時期には、テクノポップに影響を受けた新しいアーティストたちが登場し、独自のサウンドを作り上げていきました。

2000年代に入ると、テクノポップは再び注目を浴びるようになり、特にインディーズシーンで活動するアーティストたちが新たなスタイルを模索しました。PerfumeやCAPSULEのような人気ユニットが登場し、テクノポップの再評価が進みました。特にPerfumeは「ポリリズム」などのヒット曲で、一気に知名度を上げ、オリコン週間チャートでも高評価を得ることになりました。

まとめ

テクノポップは1970年代から始まり、以降の日本の音楽シーンに大きな影響を与えてきました。しばしば異なるスタイルやジャンルに取り組むアーティストたちがテクノポップの要素を取り入れた楽曲を制作する中で、今もなおその音楽的遺産は新たな形で受け継がれています。

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