ソフトボーイ

『ソフトボーイ』

2010年に日本で公開された映画で、配給は東映が行いました。本作は、佐賀県立牛津高等学校で実際に起こった出来事を下敷きにしており、男子ソフトボールに情熱を燃やす高校生たちの姿を描いた青春群像劇です。監督は豊島圭介が務め、俳優、永山絢斗の映画初主演作としても知られています。

全国56のスクリーンで公開され、映画情報サイト「ぴあ映画生活」が調査した初日満足度ランキングでは第6位にランクインしました。キャッチコピーは「青春とは、思い込みなのだ。」。タイアップ企画として、佐賀県立牛津高校とコンビニエンスストアのローソンが共同開発した「茶ロンパン」が佐賀県限定で販売されるなど、地域に根ざした展開も見られました。本編のDVDは、2010年11月21日にリリースされています。

あらすじ

物語の舞台は佐賀県。食品調理科で学びながらフランス料理のシェフを目指す高校三年生のオニツカは、全校生徒の約9割が女子という環境で日々を過ごしていました。ある日、オニツカの親友であるノグチが突如として、県内に男子ソフトボール部が存在しないことに着目し、「無条件で全国大会に出られる！」と断言してソフト部の創設を提案します。

新学年が始まり、ノグチに半ば強引に誘われたオニツカは、わずかしかいない男子生徒たちを必死に説得して部員を集め、なんとかソフトボール部を立ち上げることに成功します。集まった部員たちは一年生の一人を除いて全員がソフトボール未経験者でしたが、顧問となった澤山先生の見守る中、マイペースながらも練習を始めます。

しかし後日、女子マネージャーのクサナギがインターネットで全国大会の日程を調べたことから、重大な事実が判明します。無条件で全国大会に出られるというのは早とちりで、実際には公平を期すために佐賀県代表である彼らの高校と、大分県の代表校が一試合を行い、その勝者だけが全国大会へ進めるというものでした。しかも、対戦相手の大分代表は前年度の全国大会準優勝校という強豪。その事実を知って一度は意気消沈する部員たちでしたが、ノグチの「やってみらんと分からん！」という言葉に奮い立たされ、本腰を入れて練習に取り組むようになります。

練習に打ち込む日々の中、学校での合宿練習中にオニツカはノグチに重要な報告をします。それは、憧れのフランス料理人から直接指導を受けられるワークショップへの参加を打診されており、その日程が全国大会の日程と重なってしまうため、仮に全国大会出場が決まっても自分は出場できないというものでした。そして、全国大会出場をかけた大分代表との試合当日を迎えますが、直前に相手校が不祥事を起こし、オニツカたちは不戦勝で全国大会への切符を手にします。

全国大会への出場が決まったものの、オニツカはワークショップへの参加を優先することを部員たちに告げ、退部を表明します。事情を聞いていたノグチは急遽代わりの部員を連れてきますが、他の部員たちは納得できず、代理の生徒も入部を取りやめ、チームは廃部の危機に瀕してしまいます。その日、マネージャーのクサナギや母からの言葉に触れ、深く悩んだオニツカは、将来の夢も大切だが、今は仲間と共に全国大会に出場することの方が重要だと結論を出します。その夜、部員たちと顧問の元を訪れたオニツカは考えを改めたことを伝え、頭を下げて全国大会への出場を懇願します。こうしてチームは再び一つになり、優勝を目指して全国の舞台に挑むのでした。

キャスト

個性豊かな部員たちが物語を彩ります。

オニツカ: 永山絢斗
フランス料理のシェフを目指す、穏やかでやや引っ込み思案な三年生。ノグチに誘われソフト部に入部し、セカンドを守ります。
ノグチ: 賀来賢人
オニツカの親友でソフト部キャプテン。ポジティブで行動力がありますが、後先考えない猪突猛進型。「やってみらんと分からん」が口癖。キャッチャーを務めます。
イシオカ: 加治将樹
短気で喧嘩っ早い不良。しかしチームのムードメーカー的な存在に。ピッチャーを担当。
ナカニシ: 斎藤嘉樹
チーム唯一のソフトボール経験者である一年生。礼儀正しく熱心で、サードやショートを守ります。
タナカ: 西洋亮
食いしん坊で大柄ながら大人しい性格。存在感が薄く、名前を間違えられがち。ショートを務めます。
オオウチ: 加藤諒
成績優秀で鼻にかけるひねくれた性格。しかし密かにクサナギに想いを寄せています。ライトを守ります。
ヤマモト: 松島庄汰
素直で単純な一年生。ノグチの「無条件で全国大会」という言葉に共感して入部。チーム一の俊足でセンターを守ります。
マツモト: 中村織央
女子からの人気を第一に考える男子。実家は理髪店。ファーストを担当します。
ロドリゲス: タイラー
アメリカからの交換留学生。大柄ですがソフトボールは未経験。レフトを守ります。

その他、部を支える顧問の澤山先生を大倉孝二、幼馴染でマネージャーのクサナギを波瑠が演じるほか、いしのようこ、はなわ、山口紗弥加、そしてソフトボール選手の上野由岐子が友情出演しています。

スタッフ

監督: 豊島圭介
脚本: 林民夫
音楽: YOSHIZUMI

製作は「ソフトボーイ」製作委員会（アミューズ、東映、東映ビデオほか）が担当しました。

主題歌

主題歌には、倉木麻衣の楽曲『chance for you 〜cinema ver.〜』が使用されました。元々はアルバムに収録されていた曲ですが、映画のためにシネマバージョンとしてダウンロード販売されました。

本作は、佐賀という地方を舞台に、男子校でもない、部員もほとんどいない弱小ソフトボール部が、ひたむきに目標に向かっていく姿をコミカルかつ感動的に描いています。登場人物たちの友情や葛藤、そして成長が、観る者の共感を呼び起こす作品と言えるでしょう。

外部リンク

ソフトボーイ - allcinema
ソフトボーイ - KINENOTE

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