ソフホーズ

ソフホーズ：ソビエト連邦の国営農場

ソフホーズ（sovhoz）とは、ソビエト連邦時代に存在した国家所有の農場です。ロシア語で「ソビエト式農業」を意味する言葉の略称であり、集団所有の農場であるコルホーズと対比される存在でした。

ソフホーズの起源と発展

ソフホーズは、1918年、社会主義農業の理想的なモデルとして、コルホーズに先駆けて設立されました。当初は「人民所領」や「ソビエト所領」などと呼ばれていましたが、1919年から「ソフホーズ」という名称が定着しました。1935年には、国家計画に基づいた農産物生産を行う独立した農業企業として正式に定義されました。

コルホーズが小規模農場の集団化による共同組合のような形態であったのに対し、ソフホーズは没収された大土地所有者の土地を基盤に、国家が直接運営する大規模農場でした。労働者は、土地を持たない農村住民から雇用され、賃金が支払われました。一方、コルホーズでは、組合員が農場の収入を共同で分配する仕組みでした。しかし、どちらの農場形態においても、国内身分証明書制度によって、農民の都市部への移動は制限され、事実上農村部に縛り付けられる「新農奴制」と批判される状況も生じました。

ソフホーズでは、生産する作物や買い上げ価格は政府によって決定され、生産物は国家に納められました。ソ連の農業政策において、ソフホーズは重要な役割を担っており、国家計画に沿った食糧生産の担い手として機能していました。

ソフホーズの規模と地域分布

1990年時点では、ソ連全土に23,500のソフホーズが存在し、国営・集団農場の総数の45％を占めていました。その平均規模は15,300ヘクタールと、平均的なコルホーズの約3倍に達しました。特に中央アジア地域ではソフホーズが支配的な存在でした。

ソフホーズの変遷とその後

1990年代の経済自由化に伴い、多くのソフホーズは共同在庫調整を通して再編成されました。しかし、土地市場の発展は土地私有化に反対する勢力によって阻まれ、その過程は複雑で困難なものでした。

ソ連以外の社会主義国

ソフホーズのような国営農場は、ソ連だけでなく、ポーランドや東ドイツなどの社会主義国にも広く存在していました。これらの国々でも、ソ連と同様の農業政策が展開され、国家による農業経営が重要な役割を果たしていました。

まとめ

ソフホーズは、ソビエト連邦の農業政策を理解する上で欠かせない要素です。国家による強力な統制と計画経済の下で運営され、ソ連農業生産の中核を担った一方、農民の自由を制限する側面も持っていました。ソフホーズの歴史と現状を知ることは、社会主義経済システムと農業政策の実態を理解する上で、重要な視点を提供します。また、ソ連崩壊後の農業構造の変化や、東欧諸国の農業政策にも繋がる重要なテーマとなっています。

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