ソユーズ7号

ソユーズ7号ミッション

ソユーズ7号は、1969年10月にソビエト連邦によって実施された重要な有人宇宙ミッションです。この飛行は、ソユーズ6号およびソユーズ8号という他の2機のソユーズ宇宙船と連携して行われた点が最大の特徴であり、同時に3機の宇宙船が軌道上で活動し、合計で7名もの宇宙飛行士が宇宙空間に滞在するという、当時としては画期的な大規模ミッションでした。

乗組員

ソユーズ7号に搭乗したのは、以下の3名の宇宙飛行士です。彼らにとって、これが初めての宇宙飛行となりました。

船長：アナトリー・フィリプチェンコ
フライトエンジニア：ウラディスラフ・ボルコフ
リサーチエンジニア：ヴィクトル・ゴルバトコ

バックアップ乗組員にはウラジーミル・シャタロフ（船長）、アレクセイ・エリセーエフ（フライトエンジニア）、ピョートル・コロディン（リサーチエンジニア）が、補欠乗組員にはアンドリアン・ニコラエフ（船長）、ゲオルギー・グレチコ（フライトエンジニア）が選ばれていました。

ミッション目標と計画

この三機連携ミッションにおけるソユーズ7号の主要な役割の一つは、ソユーズ8号との軌道上での自動ドッキング、そしてそれに続く宇宙飛行士の相互移動でした。これは、先行するソユーズ4号とソユーズ5号のミッションで成功を収めた手法をさらに発展させる試みであり、将来の大規模宇宙ステーション建設に向けた重要なステップと位置づけられていました。また、連携ミッションの一環として、ソユーズ6号はこれらのドッキングや編隊飛行の様子を近距離から撮影する任務を担っていました。

ミッションの結果と評価

しかしながら、当初計画されていたソユーズ7号とソユーズ8号間のドッキングは、残念なことに達成されませんでした。原因は、ソユーズ7号に搭載されていたドッキング装置（クルス・システム）の電子機器に発生した不具合でした。遠隔操作による自動ドッキングは試みられたものの、システムの故障により接近・結合は実現しませんでした。

ミッション終了後、ソビエト当局はドッキングが元々計画されていなかったかのような発表を行いましたが、これは実情と異なると考えられています。ソユーズ7号と8号にはドッキングのためのハードウェアが搭載されており、特にソユーズ8号の搭乗員であるシャタロフとエリセーエフの両名は、ソユーズ4号・5号ミッションで実際にドッキングと船外移動による乗員交換を成功させた経験豊富な宇宙飛行士でした。このドッキング失敗は、ソビエト連邦が当時推進していた月着陸計画に関連するハードウェアの軌道上での試験としては、結果的に最後となりました。

ミッションパラメータ

ソユーズ7号の軌道パラメータは以下の通りです。

質量：約6,570 kg
近点高度：約210 km
遠点高度：約223 km
軌道傾斜角：51.7度
軌道周期：約88.8分

無線呼出符号

ソユーズ7号の管制センターとの無線通信に使用された呼出符号は、「ブリザード（吹雪）」を意味するロシア語の「ブラン」（Buran）でした。この名称は、後のソビエト/ロシアが開発したスペースシャトル型の宇宙往還機『ブラン』に再利用されることになります。この名前が選ばれた理由には、ソビエト軍の訓練における攻撃部隊の名称であったことや、以前のミッション（アンタイオス）に続くロシア語のアルファベット順（Б）から選ばれたという説などが存在します。

ミッションのその後

ソユーズ7号の乗組員であったウラディスラフ・ボルコフは、1971年にソユーズ11号ミッションに参加しましたが、地球帰還カプセル内の急激な圧力低下という痛ましい事故により、他の2名の乗組員と共に命を落としました。

ソユーズ7号を含む一連のミッションは、ソビエトが複数機・複数人での宇宙活動能力を高め、将来的な大型宇宙構造物の建設を目指していたことを示すものでしたが、技術的な課題に直面し、計画の一部達成にとどまりました。

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