ソユーズTM-10

ソユーズTM-10

「ソユーズTM-10」（ロシア語: Союз ТМ-10、英語: Soyuz TM-10）は、宇宙ステーション「ミール」への10回目の有人往復ミッションに使用されたソビエト連邦のソユーズ宇宙船です。このミッションのコールサインは「ヴルカーン（火山）」でした。

この宇宙船は1990年にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。搭乗した乗組員は、ミールでの長期滞在を任務とするソビエト連邦のゲンナジー・ストレカロフ飛行士とゲンナジー・マナコフ飛行士です。彼らはミールにドッキング後、ステーションクルーと交代しました。

ソユーズTM-10ミッションの特筆すべき点の一つは、その帰還に際して、日本人として初めて宇宙に滞在したジャーナリスト、秋山豊寛氏が搭乗したことです。秋山氏はTBSの企画によりソユーズTM-11でミールを訪れ、約1週間の短期間滞在を終えた後、地球への帰還カプセルとしてソユーズTM-10を利用しました。これにより、ソユーズTM-10は日本人初の宇宙滞在者の帰還を支えた機体として、日本の宇宙開発史においても重要な位置づけとなりました。

また、このミッションでは、生物実験用の特別な積荷として4羽のウズラが搭載されました。これらのウズラは、ミール内のクバント2モジュールに設置された飼育装置で、宇宙空間での生物飼育に関する実験に使用される予定でした。さらに、宇宙へ輸送される途中で、ウズラのうち1羽が卵を産むという珍しい出来事が発生しました。この宇宙で産まれた卵は、約130kgの他の実験結果や工業製品サンプルと共に、ソユーズTM-9に搭載されて一足先に地球へ帰還しました。これは、宇宙空間での生物の活動を示す興味深いエピソードとして記録されています。

ソユーズTM-10はミールに131日間にわたってドッキングし続けました。この間、クルーの緊急脱出手段としての役割を担うと共に、ミールの軌道維持などにも貢献しました。長期宇宙滞在ミッションにおけるソユーズ宇宙船の継続的な存在は、ステーションの安全な運用に不可欠です。

地球への帰還時には、TBSの特別番組「日本人初!宇宙へ」の企画により、ソユーズTM-10の降下モジュール内部に小型カメラが設置されました。このカメラは、秋山氏を含む帰還クルーの様子を捉え、地球への再突入から着陸までの一連の過程が、日本のテレビでリアルタイムに生中継されました。これは、宇宙空間からの生中継としては画期的な試みであり、多くの視聴者が宇宙飛行士の帰還の瞬間を共有する機会となりました。

ソユーズTM-10ミッションは、通常のクルー交代任務に加え、日本人宇宙飛行士の帰還、生物実験、そして画期的なテレビ中継といった様々な要素が組み合わさることで、特に印象深い宇宙飛行となりました。

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