ソユーズTM-26

ソユーズTM-26

ソユーズTM-26（ロシア語: Союз ТМ-26、英語: Soyuz TM-26）は、ロシア連邦宇宙局（現ロスコスモス）が実施した、軌道上の宇宙ステーション「ミール」への人員交代と運用維持を目的とした有人宇宙飛行ミッションです。通算32回目のソユーズ宇宙船によるミールへの飛行であり、そのコールサインはロシア語で「泉」を意味する「ロドニーク（Родник）」が使用されました。

この重要なミッションは、1997年8月5日、カザフスタン共和国に位置するロシアのバイコヌール宇宙基地から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットによって宇宙へと打ち上げられました。

打ち上げから二日後の1997年8月7日、ソユーズTM-26宇宙船は宇宙ステーション「ミール」へのドッキングシーケンスを開始しました。当時、ミールは度重なる技術的な問題や事故に見舞われており、特に前年のプログレス補給船との衝突事故によってスペクトルモジュールが大きな損害を被るなど、困難な状況にありました。TM-26のクルーは、このような状況下で精密な手動操縦を駆使し、無事にミールとの結合を果たしました。

ドッキング後のミッション期間中、ソユーズTM-26の乗組員はミールの復旧と維持に不可欠な様々な活動を行いました。主要な任務の一つは、先に事故で損傷したスペクトルモジュールの修復作業でした。特に、ステーション全体の電力供給システムに影響を与える電力ケーブルやコネクタ部分の、深刻なダメージを受けた箇所の修理が優先的に実施されました。これらの修理活動は、ミールにおける科学実験の実施や生命維持システムの安定稼働に極めて重要でした。

また、クルーはミールに搭載されている生命維持システムの要である酸素発生器の修繕にも取り組みました。不具合の生じた機器の修理や、必要に応じた交換作業を行うことで、長期滞在する飛行士たちの安全を確保するための努力が続けられました。

ミールの運用を脅かしていた別の問題として、船内の緩やかな気圧低下がありました。これは構造体に微細な亀裂や穴が生じている可能性を示唆しており、その特定と修理が求められていました。ソユーズTM-26のクルーは、ミール内部での宇宙遊泳（船内活動）を行い、減圧の原因となっている可能性のある箇所を探索しました。しかし、残念ながら、船内での目視や調査では、気圧漏れを引き起こしている具体的な穴や破損箇所を発見・特定するには至りませんでした。この問題は、その後のミール運用においても継続的な課題となりました。

ソユーズTM-26ミッションの乗組員は、打ち上げ時と帰還時で構成が異なりました。打ち上げ時のクルーは以下の二名でした。

アナトリー・ソロフィエフ（ロシア）- 5回目の宇宙飛行となる経験豊富なコマンダー。
パーヴェル・ヴィノグラードフ（ロシア）- このミッションが初めての宇宙飛行となるフライトエンジニア。

彼らは、ミールの第24次長期滞在クルーとして活動しました。ミッション終了に伴う帰還時には、以下の三名がソユーズTM-26に搭乗しました。

アナトリー・ソロフィエフ（ロシア）
パーヴェル・ヴィノグラードフ（ロシア）
* レオポルド・アイハーツ（フランス）- 1回目の宇宙飛行。欧州宇宙機関（ESA）の飛行士であり、このミッションにおける国際協力の一環としてミールに滞在しました。

ソユーズTM-26ミッションは、技術的な問題を抱えた宇宙ステーション「ミール」を維持・運用するための、極めて重要な役割を果たしました。困難な修理活動を遂行し、ステーションの機能を維持することで、その後のミール運用に道を開いたのです。このミッションを通じて、ロシアのソユーズ宇宙船とミールステーションの粘り強い運用能力、そして国際協力の重要性が再び示されました。

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