ソユーズTM-3

ソユーズTM-3ミッション

ソユーズTM-3は、ソビエト連邦が実行した宇宙ミッションであり、ソユーズTM型宇宙船としては2回目の有人飛行に成功したものです。また、軌道上の宇宙ステーション「ミール」への人員輸送および運用を目的とした有人ミッションとしては、これが3回目にあたります。このミッションで使用されたソユーズ宇宙船には、「ヴィーチャシ」という特別なコールサインが付与されていました。これは、中世ロシアの伝説に登場する英雄的な騎士を象徴する言葉です。

ミッションの目的と背景

このミッションの主な目的は、ミール宇宙ステーションでの長期滞在体制を維持・強化するため、新しいフライトエンジニアを送り届けることでした。さらに、当時のソ連が推進していた国際宇宙協力プログラムの一環として、友好国であるシリアから選ばれた宇宙飛行士を宇宙に送り出し、共同での宇宙活動を行うことも重要な目的の一つでした。シリア人宇宙飛行士の搭乗は、ソ連の宇宙開発における国際的な広がりを示す出来事となりました。

搭乗員構成と軌道上での動き

ソユーズTM-3ミッションの開始時、つまり打ち上げ時に搭乗していた乗組員は以下の3名です。

アレクサンドル・ヴィクトレンコ: これが彼にとって初めての宇宙飛行経験となりました。
アレクサンドル・アレクサンドロフ: 彼にとっては2度目の宇宙飛行への参加です。
ムハンマド・ファーリス: シリア共和国から参加した宇宙飛行士で、シリア人として初めて宇宙空間に到達した歴史的人物です。

ソユーズTM-3がミール宇宙ステーションに到着・ドッキングした後、軌道上で乗組員の交代が行われました。当時ミールに滞在していた長期滞在クルーの一員であったアレクサンドル・ラヴェイキン宇宙飛行士は、軽い心臓病と診断されたため、ミールでの滞在を早期に切り上げ、地球へ帰還する必要が生じました。このため、ソユーズTM-3で到着したアレクサンドル・アレクサンドロフ宇宙飛行士が、既にミールに滞在していたユーリ・ロマネンコ宇宙飛行士の新しい長期滞在パートナー、すなわちフライトエンジニアとしてミールに残留することになりました。

ミッションを終え、地球へ帰還した乗組員については、複数の記述が存在します。まず、シリア人宇宙飛行士のムハンマド・ファーリスと、ソユーズTM-3の打ち上げ司令官であったアレクサンドル・ヴィクトレンコは、病気により早期帰還するラヴェイキン宇宙飛行士とともに、ソユーズTM-2宇宙船を使用して地球に戻ったとされています。

一方、ソユーズTM-3宇宙船自体が地球へ帰還した際の乗組員として、以下の3名がリストアップされています。

ユーリ・ロマネンコ: 彼にとって3回目の宇宙飛行です。
アレクサンドル・アレクサンドロフ: 彼にとって2回目の宇宙飛行です。
アナトーリィ・レフチェンコ: 彼にとって初めての宇宙飛行です。

これは、ソユーズTM-3の機体はミールにしばらくドッキングされたままであり、後にミールに長期滞在していたユーリ・ロマネンコとアレクサンドル・アレクサンドロフ、そしてその後にミールへ来たと思われるアナトーリィ・レフチェンコを乗せて地球へ帰還したことを示唆しています。

実施された科学活動

ミール宇宙ステーションでの滞在期間中、ソユーズTM-3で到着した乗組員は、様々な科学的観測や実験を実施しました。特に、シリアから参加したムハンマド・ファーリス宇宙飛行士は、自国の領土を含む地上の観測に重点を置きました。また、宇宙環境下での材料の挙動や性質を調べる材料学の実験も行われ、宇宙での物質科学研究に貢献するデータが取得されました。

ソユーズTM-3ミッションは、長期滞在クルーの重要な交代を実現し、シリア人初の宇宙飛行士の誕生という国際的な偉業を成し遂げた点で特筆されます。また、軌道上での科学実験の実施は、宇宙ステーションの利用価値を示すものでした。クルーの健康問題への対応や、複数の宇宙船を用いた人員輸送の複雑さも垣間見えるミッションでした。

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