ムハンマド・ファーリス

ムハンマド・アフマド・ファーリスの生涯と業績

ムハンマド・アフマド・ファーリス（Muhammad Ahmad Faris）は、1951年5月26日にシリアのアレッポで生まれ、2024年4月19日にトルコで亡くなるまで、シリア初の宇宙飛行士として知られる人物です。彼は軍人および飛行士としてのキャリアを積み上げ、宇宙飛行士としての名声を築き上げました。

幼少期と教育

ファーリスはアレッポで育ち、1969年から1973年までネイラブの空軍士官学校で学びました。この教育を通じて彼は、飛行士としての技術を磨き、将来のキャリアの基礎を築くこととなりました。軍人としての道を歩む決意を固め、彼は1973年にアラブ社会主義復興党（バアス党）に加入し、その後、ネイラブ空軍基地での飛行士や教官としての職務に就くことになります。

宇宙飛行士への選抜

ファーリスの宇宙飛行士としての道は1985年に始まります。彼は同年9月に宇宙飛行士候補に選ばれ、10月にはモスクワにあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターで専念することになりました。1986年12月には、彼は主乗組員として任命され、いよいよ宇宙飛行の準備が整いました。

宇宙での体験

1987年7月22日、ファーリスは「ソユーズTM-3」に搭乗して宇宙へと旅立ちました。7月24日には宇宙ステーション「ミール」とドッキングし、その後のミッションを遂行しました。7月30日、彼は「ソユーズTM-2」で地球に帰還し、地球を眺めながら「宇宙から眺めた地球には、国境の傷跡はどこにも見当たらなかった」と語りました。この言葉は、彼の宇宙体験がもたらした深い洞察を示しています。同日に彼はソ連邦英雄の称号とレーニン勲章を授与され、国際的な注目を浴びることとなりました。

戦後の活動

宇宙飛行を終えたファーリスは、シリア空軍に戻り、2001年にはハレブの飛行士訓練学校の校長として教育に従事しました。しかし、シリア内戦が勃発すると彼の運命は大きく変わります。2012年には、反政府武装組織自由シリア軍に参加し、トルコに亡命しました。この時期、彼はメディアのインタビューでシリアの現状について意見を述べ、「難民を望まないのなら、ヨーロッパはこの政権（アサド政権）を追放するために我々を支援すべきだ」と強く訴えました。また、「ロシアの干渉を非常に残念に思う」と、シリアの人々に対する影響についても触れました。

最期の時

ファーリスは2024年4月19日にトルコで亡くなり、72年の生涯を閉じました。彼の宇宙飛行士としての業績や、シリアの歴史における彼の役割は、今も多くの人々によって語り継がれています。彼の生涯は、ただ一人の宇宙飛行士としての栄光だけでなく、シリアの現代史が直面する難題の象徴でもあるのです。

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