ソユーズTM-4

ソユーズTM-4

ソユーズTM-4は、1987年12月に打ち上げられたソビエト連邦の有人宇宙船ミッションであり、当時稼働していた宇宙ステーション「ミール」への通算4回目の有人往来を記録しました。このミッションの主要目的は、ミールへ新たな長期滞在クルーと物資を輸送し、軌道上での科学研究および技術開発ミッションを継続することでした。

打ち上げ時の搭乗者

ソユーズTM-4に搭乗してバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたのは、以下の3名の宇宙飛行士です。

ウラディミール・チトフ（3回目の宇宙飛行）
ムサ・マナロフ（1回目の宇宙飛行）
アナトリー・レフチェンコ（1回目の宇宙飛行）

チトフ飛行士とマナロフ飛行士は、ミールでの長期滞在を担う新しいクルーとして、既に軌道上に滞在していたユーリー・ロマネンコ飛行士とアレクサンドル・アレクサンドロフ飛行士（ソビエト連邦の宇宙飛行士）と交代するために搭乗しました。一方、アナトリー・レフチェンコ飛行士は、当時開発が進められていた宇宙往還機「ブラン」計画のテストパイロットであり、短期間ミールに滞在した後、先行して滞在していたロマネンコ、アレクサンドロフ両飛行士と共に、別のソユーズ船（ソユーズTM-3）で地球へ帰還する短期滞在クルーとして参加しました。

ミッションの主要な活動

ミールへドッキング後、新しい長期滞在クルーであるチトフ飛行士とマナロフ飛行士は、ステーションの引き継ぎ作業を開始しました。地球へ戻るロマネンコ、アレクサンドロフ両飛行士は、後任となるクルーに対し、船外活動（宇宙遊泳）に必要な機器の操作方法や、ステーション内のさまざまなシステムの運用に関する詳細な引き継ぎを丁寧に行いました。

このミッションでは、軌道上での科学研究を継続・拡大するため、複数の新しい実験機器がミールへ持ち込まれました。チトフ、マナロフ両飛行士は、これらの機器をクバント1モジュールなどに設置しました。持ち込まれた機器の中には、宇宙環境を利用して高品質なタンパク質などの結晶を生成するための生物結晶生成装置など、生物学関連の研究を進めるための重要な装置が含まれていました。

宇宙空間での安全な運用のため、万一の事態に備えた訓練も実施されました。ミールに搭載されたコンピュータシステムを用いた緊急事態のシミュレーションが行われ、滞在中の全宇宙飛行士が参加する形で避難訓練が実施されました。これは、クルーが連携して迅速かつ的確に行動するための重要な訓練でした。

長期滞在クルーとなったマナロフ飛行士とチトフ飛行士は、多岐にわたる科学活動に従事しましたが、その中でも特筆すべきはクバントモジュールに搭載されたグレイザー望遠鏡を使用した紫外線観測です。彼らは、遠方の銀河や星団から放たれる紫外線を観測し、宇宙の構造や天体の進化に関する貴重なデータを取得しようと試みました。

この紫外線観測は、精密なデータ取得のために多くの困難を伴いました。特に、高感度な観測には8分を超えるような長時間の露光が必要とされました。宇宙ステーションという微細な振動が発生しやすい環境において、宇宙飛行士のわずかな体の動きや船内活動であっても、観測装置にブレを生じさせ、データの質を低下させる可能性がありました。そのため、長時間の露光中は、クルーの船内活動が厳しく制限され、宇宙飛行士には極めて高い忍耐と集中力が求められました。

地球への帰還時の搭乗者

ソユーズTM-4は、チトフ飛行士とマナロフ飛行士をミールに残し、打ち上げ時の乗組員とは異なる以下の3名を乗せて地球へ帰還しました。

アナトリー・ソロフィエフ（1回目の宇宙飛行）
ビクトール・サビニャク（3回目の宇宙飛行）
アレクサンドル・アレクサンドロフ（1回目の宇宙飛行） - ブルガリア人宇宙飛行士

この帰還クルーには、ソユーズTM-3でミールに到着し長期滞在を終えたソビエト連邦のユーリー・ロマネンコ飛行士と、ブルガリア初の宇宙飛行士としてソユーズTM-3ミッションに参加したアレクサンドル・アレクサンドロフ飛行士が含まれていました。レフチェンコ飛行士もこのソユーズTM-3での帰還グループに加わったため、結果としてソユーズTM-4の帰還カプセルには、ソユーズTM-3でミールに到着したクルーが搭乗して帰還したことになります。ソユーズTM-4自身は、ミールに長期間ドッキングされた後、別のクルーを乗せて地球に帰還するという運用が取られました。

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