ソロヴィヨーフ PS-90

ソロヴィヨーフ PS-90

ソロヴィヨーフ PS-90（ロシア語：Соловьёв ПС-90）は、アヴィアドヴィガーテリ社が開発した航空機用の高バイパス比ターボファンエンジンです。もともとはD-90という名称であったものが、ソ連航空産業省の指示により設計者パベル・アレクサンドロヴィッチ・ソロビユーフのイニシャルを取ってPS-90となりました。このエンジンは1992年に耐空証明を取得し、運用が開始されました。2021年8月1日までの時点で、総運転時間は2,430,809時間に達しています。

概要

PS-90は、新世代のロシア製旅客機向けに設計されたもので、特に高出力、低コスト、低騒音が大きな特徴です。その開発は1979年にスタートし、当初はIl-96向けに競合するエンジンNK-56が開発されていましたが、ソ連政府の介入によりNK-56は開発が中止され、PS-90のみが残りました。また、このエンジンはモジュラー設計を採用しており、11のモジュールから成り、その一部は現地での交換が可能です。さらに、制御システムには2つのチャンネルを持つ電子制御が採用されており、エンジンの動作を監視するためのシステムも装備されています。

各形式

PS-90にはいくつかのバリエーションがあります。例えば、基本型のPS-90Aは、Il-96やTu-204に搭載されており、公称出力は16,000 kgfです。この型は、2006年及び2008年のICAOステージ4の騒音基準に適合しています。

PS-90AE

この形式はPS-90Aの改良型であり、従来のTD-90温度検出器の代わりにTD-90Mを使用することで、動作温度を30℃向上させました。

PS-90A-76

Il-76への載せ替え用に開発されたもので、公称出力は14,500kgですが、最高で16,000kgまでの出力も可能です。2003年には認証を取得しました。

PS-90A2

PS-90A2は、国際的なエンジン部品を使用して大幅な改良が施された型で、西側エンジンと同等の燃費性能を持っています。また、ETOPS-180の認定を受け、180分間の片肺飛行も可能になっています。

PS-90A3

この型はTu-204SM向けに開発され、PS-90Aよりも軽量で経済的です。性能向上のために多数の技術的な改良が施されています。2009年には認証を取得し、2011年1月には耐空証明が完了しました。

仕様

一般的なPS-90Aの仕様は以下の通りです。

• - 形式: 高バイパス・ターボファン
• - 全長: 4,964mm
• - 直径: 1.90m
• - 乾燥重量: 2,950kg
• - 公称出力: 16,000 kgf
• - バイパス比: 4.7
• - 空気流量: 504kg/s
• - タービン入口温度: 580℃

まとめ

ソロヴィヨーフ PS-90は、その設計の柔軟性と高性能、国際基準への適合性から、現代の航空機エンジンの重要な選択肢であると言えます。生産される多様な型は、様々な航空機のニーズに応えることができ、ロシアの航空産業に多大な影響を与えています。

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