ソン・ヨンジェ (格闘家)

ソン・ヨンジェ（송영재、Young Jae Song）は、1996年1月3日に韓国の江原道で生まれた、注目の男性総合格闘家です。現在、HAVAS MMAに所属しており、そのキャリアを通じて初代AFCバンタム級王者、そして現AFCフェザー級暫定王者のタイトルを獲得しています。

彼の総合格闘技への道は、UFCや韓国MMA界の偉大なレジェンド、キム・ドンヒョン選手への強い憧れから始まりました。本格的にプロを目指すことを決意したのは20歳を迎える年。彼は故郷を離れ、ソウルへと活動の拠点を移し、トレーニングに励む日々を送ります。2014年からはアマチュアの舞台で経験を積み重ね、着実にスキルを磨きました。そして2017年、プロのリングに上がります。

プロデビュー後、彼はAFC（Angle Fighting Championship）を主戦場として活躍します。その才能と努力はすぐに実を結び、AFCバンタム級の初代王座を獲得。さらにフェザー級でも暫定王者のタイトルを手にするなど、韓国国内で圧倒的な強さを見せつけ、無敗のまま連勝街道を突き進みました。

国内での成功を背景に、彼はより大きな舞台へと挑戦します。2024年には、UFCへの登竜門ともいえる「ROAD TO UFC」フェザー級トーナメントに参加しました。しかし、この大会の1回戦で、プロキャリア初の敗北を経験することとなります。長らく維持してきた無敗記録が途絶えたことは、彼にとって大きな試練だったでしょう。

それでも、ソン・ヨンジェはすぐに立ち直り、再び戦いの場に戻ってきました。同年11月に行われたAFCでの試合で勝利を飾り、その力と精神的な強さを示して再起を果たしたのです。

そして2025年5月31日、彼は日本のメジャー団体であるRIZINのリングに初めて上がりました。RIZIN WORLD SERIES in KOREA|RIZIN_WORLD_SERIES_in_KOREA大会での対戦相手は、元GLADIATORフェザー級王者である中原由貴選手でした。この試合は、ソン・ヨンジェのキャリアの中でも特に劇的な展開を見せます。試合は序盤から中原選手のペースで進み、ソン・ヨンジェは厳しい劣勢を強いられました。しかし、迎えた最終第3ラウンド、彼は諦めることなくチャンスを伺い続けます。そして、意表を突くバックハンドブローを相手にヒットさせ、相手を大きくぐらつかせると、その隙を逃さず渾身の右ストレートを繰り出し、見事な逆転ノックアウト勝利を収めました。不利な状況から一瞬の隙を突き、試合をひっくり返す彼のファイトスタイルは、観客に強い印象を与えました。

AFCでの二階級タイトル獲得、ROAD TO UFCでの挑戦、そしてRIZINでの鮮烈な勝利と、ソン・ヨンジェはまだ若いキャリアの中で多くの経験を積んでいます。そのアグレッシブなファイトと、逆境を跳ね返す精神力は、今後さらに多くの舞台での活躍を期待させるものです。

もう一度検索