ソーテルヌ (ワイン)

ソーテルヌは、フランスのボルドー地方、ガロンヌ川左岸に位置するソーテルヌ地区で生産される、世界的に有名なAOC（原産地呼称統制）ワインです。特に、その極甘口の貴腐ワインは、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイと並び、世界三大貴腐ワインとして広く知られています。

ソーテルヌの地理的特徴

ソーテルヌのワインは、ソーテルヌ村とその周辺のボンム、フォルグ、プレイニャック、バルサックの5つの村で生産されます。この地域は、ガロンヌ川とその支流であるシロン川の影響を大きく受けており、貴腐菌の発生に適した独特の微気候を形成しています。具体的には、シロン川から発生する朝霧がブドウ畑を覆い、午後の日差しがそれを蒸発させることで、ブドウの果皮に貴腐菌が付着しやすくなります。ソーテルヌ、ボンム、ファルグ、プレニャックはシロン川の右岸に位置し、砂利質の土壌が特徴です。一方、シロン川左岸に位置するバルサックは、石灰岩質の土壌を持っています。バルサックのワインはソーテルヌを名乗ることも、バルサックを名乗ることも可能です。

ブドウ品種とワインの製法

ソーテルヌのワイン造りには、主にセミヨンというブドウ品種が使用されます。セミヨンは果皮が薄く、貴腐菌が付きやすいという特徴を持っています。その他、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルといった品種もブレンドに使用されることがあります。AOCの規定により、ソーテルヌで生産できるのは甘口の白ワインのみと定められています。

貴腐ワインは、貴腐菌によってブドウの水分が蒸発し、糖度が凝縮された状態で収穫されたブドウを使用して造られます。この貴腐菌の働きによって、独特の風味と複雑な甘さが生まれます。収穫は手作業で行われ、貴腐化したブドウのみを選別するため、非常に手間がかかります。また、天候に左右されやすく、毎年安定した生産量を確保することが難しいという側面もあります。

ソーテルヌの格付け

ソーテルヌの格付けは、1855年にメドックの格付けと同時に行われました。この格付けでは、シャトー・ディケムが特別1級に、11の生産者が1級に、13の生産者が2級に選ばれています。シャトー・ディケムは、その卓越した品質から、ソーテルヌにおける別格の存在として知られています。

ソーテルヌの楽しみ方

ソーテルヌは極甘口のワインであるため、通常の白ワインよりも低い温度（8～10℃程度）で飲むのがおすすめです。その濃厚な甘さは、ブルーチーズやフォアグラといった塩味の強い食材と合わせることで、絶妙なハーモニーを生み出します。また、クレームブリュレやタルトタタンなどの甘いデザートとの相性も抜群です。食後のデザートワインとして、ゆっくりと時間をかけて楽しむのがおすすめです。

ソーテルヌは、その独特の製法と気候条件、そして生産者の情熱によって造り上げられる、まさに至高の甘口ワインです。特別な日の食卓を彩る一本として、ぜひお試しください。

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