ソード・ワールドRPGシアター

ソード・ワールドRPG 西部諸国シアター

『ソード・ワールドRPG 西部諸国シアター』は、1996年から1997年にかけて『月刊ドラゴンマガジン』で連載された読者参加型の小説企画です。この企画は、アレクラスト大陸の西部を舞台に、読者が送ったアイデアを元にした物語を山本弘が執筆する形式で展開されました。略称として「シアター」が用いられ、企画名は多彩なストーリーの展開を意図して名付けられました。

概要

本企画は、読者から寄せられたアイデアを元に小説を執筆するという形式を採用しており、各話ごとに異なるストーリーが展開されました。読者のアイデアを反映させるための最初の試みとして知られ、最終的には全6話・12回が連載されることになります。多くのハガキが寄せられたものの、アイデアの量や質は様々で、最初の計画よりもハードルが高く感じられたため、読者数が減少してしまいました。また、山本には巨数の原案を消化する負担がかかり、結果的にアイデアの制限が設けられることとなりました。

連載の特徴とルール

連載回ごとに異なる原案が競り合い、その中で優れた作品が採用される流れとなっていましたが、あまりにも多くの長文の原案が寄せられるため、後に「1作品はハガキ10枚以内に」というルールが設定されました。この変化により、企画自体の寿命を縮めてしまったとも言われています。

採用された作品とその傾向

連載中には複数の優秀作が介紹され、読者の手で教材としても記憶される内容が多かったです。毎話ごとに舞台や物語の背景が異なり、それに伴って提案されたキャラクターや世界設定も多岐にわたりました。例えば、初回の『帰ってきたドラゴン』では特にダークエルフのヒロインが登場し、人気を博しました。さらに、『海魔の女王』では創造性豊かなモンスターが魅力を振りまきました。

芸術的側面

また本企画には、イラストレーターの井上純弌や針玉ヒロキ、田口順子が参加し、視覚的にも楽しませてくれる作品となりました。特にハガキ紹介ページでは、キャラクターや物語の要素を生かしたユニークなイラストが毎回描かれ、読者の心を掴みました。イラストは未来のストーリー展開を予感させるような魅力が強く、読者参加型企画としては非常に完成度の高いものでした。

情熱と努力の結実

この連載は短命ではありましたが、多くのファンの記憶に残り、ソード・ワールドのファン文化において重要な位置を占めています。企画の終了後も、いくつかの作品は単行本としてまとめられ、夢のような冒険を提供し続けています。『時の果てまでこの歌を』や『狂える館の復讐』といった作品は、後にも語り継がれ、多くの人々に愛される存在となっています。

このように、『ソード・ワールドRPG 西部諸国シアター』は、単なる読者参加型企画を超え、独自の文化やストーリー作りへの一歩を示す成功事例となったのです。

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