ソール・トロンデラーグ県

ソール・トロンデラーグ県は、かつてノルウェー中部のトロンデラーグ地方に存在した県です。県都はトロンハイムで、2018年に北東に隣接するヌール・トロンデラーグ県と合併し、現在のトロンデラーグ県となりました。この地域は、独特の文化と歴史を持ち、豊かな自然に恵まれています。

歴史

1662年、この地域はトロニイェム県として設置されました。トロニイェムは現在のトロンハイムの旧称です。1804年には、トロニイェム県が南北に分割され、南側がソール・トロニイェム県（Søndre Trondhjems amt）となりました。1919年にソール・トロンデラーグ県と改称されました。

1983年には、1475年から1510年までトロンヘイムの大司教であったゴート・イヴァーソンの紋章にちなんだ県章が制定されました。2016年には、南北トロンデラーグ県の合併についての住民投票が行われ、両県ともに賛成多数となり、2018年に合併が実現しました。

地理

ソール・トロンデラーグ県は、トロンヘイムフィヨルドによって大きく二分されており、海岸地方が北側に突き出た地形をしています。南部にはトロルヘイム山脈とドヴレフエル山脈が連なり、フィヨルドの北にはフォーセン半島があります。

オルクラ川やガウラ川などの河川は、サケの遡上で有名であり、ドヴレフエル-サンダスフェル国立公園をはじめ、多くの国立公園があります。かつては、北東でヌール・トロンデラーグ県、南西でムーレ・オ・ロムスダール県、南南西でオップラン県、南でヘードマルク県と接していました。また、西はノルウェー海に、東はスウェーデンに接していました。

歴史的背景

この地域には、数千年前から人が居住していたとされ、トロンヘイムフィヨルド周辺の肥沃な土地は、ヴァイキング時代にも重要な拠点となったと考えられています。トロンハイムは、長年にわたり大司教が所在した地であり、1030年にオーラヴ2世が亡くなった場所としても知られ、巡礼地となっています。

1658年、北方戦争の結果、この地域は一時的にスウェーデンに割譲されましたが、1660年にスウェーデン王カール10世が死去したことでノルウェーに返還されました。県南東部のレーロースにある鉱山町は、保存状態が良好で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

経済

かつては鉱業が盛んでした。南東部の山岳地帯、特にレーロースやメルダルのロッケンなどでは、1664年から1977年まで約300年にわたり銅が採掘されていました。タムスヴァンバネンというオークダルからロッケンまでの古い電気鉄道は、今も残っています。しかし、鉱山開発のために森林が伐採されたため、その回復は遅れています。現在は鉱山は閉山していますが、世界遺産としての観光資源となっています。

農業も重要な産業であり、特にトロンハイム、オークダル、メルハス、スカウン、ミッドトルガウラル、マルヴィクなどの渓谷部で盛んです。海岸沿いの地域であるオーランドやリッサでも農業が営まれています。また、沿岸部では漁業も行われています。

トロンハイムは、この地域の中心都市であり、行政機能のほか、農業関連の工業やハイテクビジネス、医療施設などの二次・三次産業が集積しています。

気候

ソール・トロンデラーグ県は、気候変動が激しい地域です。風向きによって天候が大きく変わり、南風や偏東風が吹く日は晴天になりやすいです。偏西風が吹く日は、夏は寒く雨の日が多く、冬は比較的穏やかです。冬に北西風が吹くと雪やみぞれになり、悪天候となることが多いです。

降水量は地域によって異なり、フォーセン地域では年間2000mmを超えるのに対し、トロンハイムでは850mm、オパダルでは500mm程度です。海岸部と内陸の山岳部では気候が大きく異なり、冬には海岸部は比較的温暖ですが風が強く、山岳部では積雪が多く寒さが厳しくなります。

沿岸部のフローヤのスラでは、寒い時期の平均気温が1.5℃程度であるのに対し、山岳部のレーロースでは-11.2℃まで下がります。夏の気温は、海岸部と内陸部で大きな差はありません。

下位行政区

ソール・トロンデラーグ県には、以下の25の下位行政区がありました。

オーフィヨルド（Åfjord）
アグデネス（Agdenes）
ビュグン（Bjugn）
フローヤ（Frøya）
ヘムネ（Hemne）
ヒトラ（Hitra）
ホルトーレン（Holtålen）
クラーブー（Klæbu）
マルヴィク（Malvik）
メルダル（Meldal）
メルフス（Melhus）
ミッドトレ・ガウダル（Midtre Gauldal）
オップダル（Oppdal）
オークダル（Orkdal）
オーランド（Ørland）
オーセン（Osen）
レンネブー（Rennebu）
リッサ（Rissa）
ローアン（Roan）
ローロス（Røros）
セルブー（Selbu）
スカウン（Skaun）
スニルフィヨルド（Snillfjord）
トロンハイム（Trondheim）
* テューダール（Tydal）

ソール・トロンデラーグ県は、その歴史、地理、文化、経済、気候など、多様な側面を持つ魅力的な地域でした。

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