レーロース

レーロース：歴史と文化が息づくノルウェーの鉱山都市

レーロース（Røros）は、ノルウェー中部のソール・トロンデラーグ県に位置する、歴史的な鉱山都市です。1644年に銅の採掘が始まり、17世紀から18世紀にかけて重要な鉱山都市として発展しました。その美しい木造建築群は、1980年にユネスコの世界遺産に登録され、現在も多くの観光客を魅了しています。

歴史

レーロースは、1644年に銅鉱が発見されたことからその歴史をスタートさせました。17世紀から18世紀にかけては、ノルウェーの主要な鉱山都市として繁栄し、銅の生産は国の経済を支える重要な役割を果たしました。

スコーネ戦争（1675年 - 1679年）や大北方戦争（1700年 - 1721年）などの戦乱の際には、スウェーデン軍の侵攻を受け、一時的に廃墟と化すこともありました。大北方戦争中には、スウェーデン軍によって銅の生産が行われ、産出された銅は戦争に利用されました。しかし、1718年にスウェーデンのカール12世が暗殺されると、スウェーデン軍は撤退。撤退の際、準備不足と厳しい天候により、3,000人以上の兵士がレーロース北東の山中で命を落とすという悲劇も起こりました。

ヨハン・ファルクベルゲト (en:Johan Falkberget) は、社会階層の最下級にいる鉱夫の視点から、鉱山における生活を描写し、レーロースの名前を再び有名にしました。

地理と気候

レーロースは、海抜630mの高原に位置し、周囲をシラカバやマツなどの森林に囲まれています。市内には湖沼群があり、カヤックや釣りなどのアクティビティを楽しむことができます。

気候はやや大陸性で、年間降水量は約500mm。冬は寒く乾燥しており、1月の平均気温は-11.2℃です。夏は日較差が大きく、6月の平均気温は11.4℃ですが、昼間は暖かくても夜は冷え込むことがあります。

文化

レーロースでは、冬に伝統的な市場「レーロースマルトナン」が開催され、毎年6万から7万人の観光客が訪れます。この市場は、2月の最終火曜日に始まり、5日間続きます。

また、1994年からは、大北方戦争時のスウェーデン軍撤退の悲劇をモチーフにした野外芸術祭が開催されています。

交通

レーロースは、首都オスロから鉄道（レーロース鉄道）と航空（レーロース空港）で結ばれています。道路では、南のティンセット、北西のトロンハイムと繋がっており、東へ向かうとスウェーデンへ入国できます。

世界遺産

レーロースは、以下の理由によりユネスコの世界遺産に登録されました。

現存する、または消滅した文化的伝統や文明の、唯一または少なくとも稀な証拠であること。
人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、または景観の優れた例であること。
* ある文化（または複数の文化）を代表する伝統的集落、または陸上・海上利用の際立った例であること。特に、不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例であること。

レーロースは、その歴史的な景観と文化的な価値が世界的に認められた、貴重な遺産です。観光客は、鉱山の歴史に触れ、美しい木造建築群を散策し、地元の文化に触れることができます。

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