ゾラン・ジンジッチ

ゾラン・ジンジッチ：セルビアの政治家、ベオグラード市長、セルビア共和国首相

ゾラン・ジンジッチ（1952年8月1日 - 2003年3月12日）は、セルビア・モンテネグロの政治家であり、ベオグラード市長、セルビア共和国首相を歴任しました。また、哲学博士でもありました。

生い立ちと学歴

ジンジッチは、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国のボサンスキ・シャマツ（現ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国シャマツ）で生まれました。ベオグラード大学で哲学を学び、その後ドイツのフランクフルトに留学し、コンスタンツ大学で哲学の博士号を取得しました。

政治家としての活動

1989年にノヴィ・サド大学の教官となるためにユーゴスラビアに帰国し、民主党を設立しました。1993年には党首に就任しました。1996年から1997年にかけて、スロボダン・ミロシェヴィッチ政権に対する大規模な抗議行動が起こり、ジンジッチは第二次世界大戦後初の非共産党系のベオグラード市長となりました。しかし、政敵であったヴク・ドラシュコヴィッチのセルビア再生運動（SPO）、ヴェスナ・ペシッチのセルビア市民同盟（GSS）との連合は、4ヶ月で瓦解しました。

NATOによるセルビアへの空爆が行われている最中、反体制派のジャーナリスト、スラヴコ・チュルヴィヤが殺害され、ジンジッチは一時モンテネグロへ避難しました。当時の大統領スロボダン・ミロシェヴィッチの秘密警察による暗殺対象リストに、ジンジッチの名前があったと言われています。1999年には、タイム誌の「次世紀の最も重要な政治家」としてその名が掲載されました。

NATOによる空爆中、ジンジッチが当時の米国大統領ビル・クリントンと握手する写真は、売国奴との批判と、セルビアが国際社会に復帰できる可能性を示すものとの評価が分かれました。1999年にセルビアへ帰国後、国家の安全を損なったとして逮捕されました。

ジンジッチは、ミロシェヴィッチ政権が崩壊した2000年のユーゴスラビア大統領選挙で重要な役割を果たし、19党連立による政権の首脳として2001年1月25日にセルビア共和国の首相に就任しました。ジンジッチはミロシェヴィッチを旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷に引き渡しましたが、裁判が延期され長引いたことに対し、「騙された、幻滅した。これは茶番だ」と失望をあらわにしました。

ジンジッチは、ビル・クリントン大統領、ジャック・シラク大統領、トニー・ブレア首相などの西側諸国の政治家から信頼され、彼らの支持を明確に表明されました。

暗殺

ジンジッチは2003年3月12日、ベオグラードで警察軍中佐のズヴェズダン・ヨヴァノヴィッチによって暗殺されました。胸部を銃撃され、心臓を損傷して死亡しました。官房長官であったナターシャ・ミチッチによって即時非常事態宣言が発令され、民主党の後任党首にはゾラン・ジヴコヴィッチが選出されました。

遺産

ゾラン・ジンジッチは、セルビアの民主化と欧州統合に尽力した政治家として記憶されています。彼の暗殺はセルビア社会に大きな衝撃を与えましたが、彼の理念は後継者たちによって受け継がれています。

ジンジッチ博士財団
公式追悼サイト

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