タイプと
トークンの区別とは、ある対象のクラス(タイプ)と、そのクラスに属する個々の事例(
トークン)を区別する概念です。この対概念は、
チャールズ・サンダース・パースによって導入されました。
具体例
例えば、あなたのガレージにある特定の自転車は、「自転車」というタイプの中の
トークンとして理解できます。この
トークンとしての自転車は、特定の時間と空間に存在しますが、タイプとしての「自転車」はそうではありません。
「最近、自転車の人気が高まっている」という場合、ここで言及されている「自転車」は、タイプとしての自転車を指しています。一方、「あなたのガレージの中の自転車」と言う場合、それは
トークンとしての自転車を指しています。
タイプの性質
タイプは、時間や空間に位置を持たない抽象的な対象と考えられています。これは、「特定の対象(particulars)」が時間や空間に位置を持っているのとは対照的です。ここでいう「特定の対象」とは、具体性を持つ物理的な対象を指します。
タイプは、
トークンを全く持たない場合もあります。例えば、「二つの素数の和でないような偶数(
ゴールドバッハの予想)」というタイプは、現在まで
トークンが見つかっていません。
まとめ
タイプと
トークンの区別は、抽象的な概念と具体的な事例を区別する上で重要な概念です。タイプは抽象的で普遍的なクラスを指し、
トークンはそのクラスに属する個々の具体的な事例を指します。この区別を理解することで、より正確な思考や表現が可能になります。
関連用語
抽象的対象
メタ論理学
形式主義
型理論
タイプ (
形而上学)
タイプ
物理主義
同一性
付随性
外部リンク
*
Linda Wetzel (2006), Types and Tokens, スタンフォード哲学百科事典