タイム〜時の旅人〜

ロッド・スチュワート『タイム〜時の旅人〜』

『タイム〜時の旅人〜』（原題：Time）は、2013年にリリースされたロッド・スチュワートのスタジオ・アルバムです。2000年代以降、カバー・アルバムの制作が続いていた彼にとって、本作は1998年の『ザ・ニュー・ボーイズ』以来、実に15年ぶりに自身のソングライティングが大きくフィーチャーされた作品となりました。

制作の背景

スチュワート自身は、ソングライティングに対してある種の苦手意識を持っていたことを明かしています。しかし、旧知の仲であるジム・クリーガンに曲作りを強く勧められたことがきっかけとなり、本作に収録された「ブライトン・ビーチ」が誕生。これを機に、再び作曲への意欲を取り戻したと言います。

アルバムには、トム・ウェイツのカバー「ピクチャー・イン・ア・フレーム」も収録されています。スチュワートは、妻ペニー・ランカスターとの一時的な別居中に、彼女の写真に語りかけるという経験から、この曲にインスパイアされたと語っています。また、日本盤にはボーナス・トラックとして、同じくトム・ウェイツの楽曲「コールド・ウォーター」が収録されています。

「ビューティフル・モーニング」は、アルバムに先駆けて前作『メリー・クリスマス、ベイビー』の購入特典として先行公開され、その後、先行シングル「美しき日々」として配信されました。

反響と評価

本作は、イギリスで大きな成功を収めました。全英アルバムチャートでは初登場1位を獲得し、これは1979年の『ロッド・スチュワート・グレイテスト・ヒッツ!!』以来、34年ぶり、通算8作目の首位獲得となりました。また、2013年の年間アルバムチャートでも7位にランクインしています。

アメリカでは、Billboard 200で最高7位を記録し、合計8週にわたってトップ200にランクインしました。

音楽評論家からの評価は賛否両論でした。オールミュージックのスティーブン・トーマス・エルレワインは、5点満点中3点をつけ、「ロッド・スチュワートという人物を反映しており、彼はなおも大衆を喜ばせ、なおも幾らかの活力があり、そして過ぎ去りし日々にロマンティックな思いを馳せるようになった一方、現代的なサウンドを追求している」と評しました。PopMattersのスティーヴ・レフトリッジは、10点満点中5点をつけ、「全体的にバランスが悪くオーヴァー・プロデュース気味だが、エキサイティングな完全復活とまではいかないにせよ、生気が感じられる」と評しました。ローリング・ストーン誌のジョン・ドーランは、5点満点中3点をつけ、「ソングライティングに関しては、時にダサく馬鹿げた曲もあるが、ほぼ全曲とも屈託のない温かみがある」と評しました。

収録曲

1. 美しき日々 - She Makes Me Happy
2. キャント・ストップ・ミー・ナウ - Can't Stop Me Now
3. イッツ・オーヴァー - It's Over
4. ブライトン・ビーチ - Brighton Beach
5. ビューティフル・モーニング - Beautiful Morning
6. リヴ・ザ・ライフ - Live the Life
7. ファイネスト・ウーマン - Finest Woman
8. タイム〜時の旅人〜 - Time
9. ピクチャー・イン・ア・フレーム - Picture in a Frame
10. セクシャル・レリジョン - Sexual Religion
11. メイク・ラヴ・トゥ・ミー・トゥナイト - Make Love to Me Tonight
12. ピュア・ラヴ - Pure Love

日本盤ボーナス・トラック

ヒア・カムズ・ザ・ナイト - Here Comes the Night
コールド・ウォーター - Cold Water
* シェイク・ユア・マネー・メイカー - Shake Your Money Maker

まとめ

『タイム〜時の旅人〜』は、ロッド・スチュワートが自身のルーツに立ち返り、新たな音楽的挑戦を試みた意欲作と言えるでしょう。彼の音楽に対する情熱と、時代を超えて愛される歌声が、再び多くの人々を魅了した作品です。

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