タイ地理情報・宇宙技術開発機関

タイ地理情報・宇宙技術開発機関（GISTDA）

タイ地理情報・宇宙技術開発機関（Geo-Informatics and Space Technology Development Agency: GISTDA）は、タイ王国の科学技術省の監督下にある宇宙機関です。2000年11月2日に設立され、リモートセンシング、地理情報システム（GIS）、衛星技術開発などを担当しています。タイ初の地球観測衛星THEOS（Thaichote）を運用し、地理情報の収集と利用を推進しています。

歴史

GISTDAの歴史は、1971年にアメリカNASAのランドサット計画にタイが参加したことに始まります。当初はタイ国家研究評議会（NRCT）がタイ・リモートセンシング計画（TRSP）を通じて参加していました。その後、1979年にTRSPはタイ・リモートセンシングセンター（TRSC）に改称され、天然資源や環境管理分野でのリモートセンシング利用を推進しました。

1982年には、東南アジア諸国に先駆けてタイ地上通信所を開設し、ランドサット、SPOT、NOAAなどの衛星データを提供開始しました。1993年にはGISの利用推進のため、タイ科学技術・環境省情報センター内にGIS調整推進課が設置されました。これらの活動の拡大に伴い、2000年11月2日にGISTDAが設立されました。

2004年には、タイ初の地球観測衛星THEOSの打ち上げ計画を策定し、2008年にロシアから打ち上げ、運用を開始しました。2011年には、THEOSはThaichote（タイ語: ดาวเทียมไทยโชต ）に改称されました。

施設所在地

GISTDAの本部は、バンコクのラックシー区に位置しています。また、タイ地上通信所はバンコクのラートクラバン区、THEOS管制通信所はチョンブリー県のシーラーチャー郡にあります。

本部: バンコク　ラックシー区 トゥンソーンホーン地区ヂェーンワッタナ通り 政府総合庁舎 B棟
タイ地上通信所: バンコク ラートクラバン区 チャローングルン通り165
THEOS管制通信所: チョンブリー県　シーラーチャー郡　タムボン・トゥンスックラー ムー9

部局

GISTDAは、以下の部局で構成されています。

行政課
政策企画課
地理情報課
衛星天然資源情報センター
サービス・ビジネス開発課
情報通信技術課
地球観測センター
THEOSプロジェクト
宇宙情報開発研究所

THEOS計画

GISTDAは、地図作成、国土計画、土地利用、資源管理、災害モニタリングなどを目的としたタイ地球観測システム計画を2004年に策定しました。2008年には、タイ初の地球観測衛星THEOSを打ち上げ、運用を開始しました。

宇宙開発計画

GISTDAは、2009年から2012年までの4ヵ年計画において、「国益のための地球観測技術と地理情報技術の発展と応用」を目標としています。農業、資源管理、観光、ビジネスなどの分野で、既存の衛星、地理情報システム、ネットワークの活用に重点を置いています。現時点では、自力打ち上げ能力の開発は行わず、情報収集と技術育成に注力しています。

多国間連携

GISTDAは、アジア太平洋地域宇宙機関会議（APRSAF）にタイ代表として参加しています。また、自然災害発生時の緊急観測と情報共有を行う「センチネル・アジア」プロジェクトにも参加し、THEOSのデータを提供しています。さらに、小型衛星技術人材育成プロジェクト「STAR」にも参加し、日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）の協力のもと、衛星宇宙技術の人材育成を行っています。

中国を機軸とするアジア太平洋宇宙協力機構（APSCO）にも加盟しており、中国の環境・災害観測衛星の地上通信基地をタイ国内に建設することで合意しています。また、武漢大学と協力して、シリトーン地理情報国際会館を建設し、国際的な宇宙技術人材開発を推進しています。

その他、GISTDAは国連宇宙空間平和利用委員会（COPUOS）、アジア太平洋経済社会委員会（ESCAP）などの国際機関にも加盟し、国際的な連携を強化しています。

二国間連携

GISTDAは、以下の国々との二国間連携も積極的に行っています。

中華人民共和国（中国応用リモートセンシング研究所、中国国家リモートセンシングセンター、武漢大学）
ヴェトナム
ラオス
日本（宇宙航空研究開発機構）
フランス
アメリカ合衆国（アメリカ国家地球空間情報局、アメリカ航空宇宙局）
ロシア
ペルー

関連事項

科学技術省 (タイ)
宇宙機関
アジアの宇宙競争
タイ王国の宇宙開発

外部リンク

タイ地理情報・宇宙技術開発機関公式ホームページ（英語）
タイ地理情報・宇宙技術開発機関公式ホームページ（タイ語）

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