タクシーメーター

タクシーメーター：正確な運賃計算を支える機器

タクシーメーターは、タクシーやハイヤーに搭載され、走行距離や時間に基づいて運賃を自動計算し表示する機器です。日本では道路運送法で設置が義務付けられており、運賃の不正を防止する役割も担っています。

メーターの仕組みと機能

タクシーメーターは、タイヤの回転数を検知して走行距離を計測し、時間距離併用式を採用しているため、渋滞時でも時間に応じて料金が加算されます。基本機能として、営業キロ、実車キロ、初乗回数、以降回数のカウントがあり、運転手による運賃の不正操作を防ぎます。

メーターは通常、実空車表示器と連動しており、空車状態から賃走スイッチを入れると表示が自動的に切り替わります。多くの地域では、客が容易に空車状況を判別できるよう、社名表示灯も連動して消灯します。

操作スイッチ

タクシーメーターの操作は、主にボタンで行います。機種によって操作確認音やバックライト機能が備わっているものもあります。主なボタンとしては、以下のものがあります。

空車: 車内が空になった際に操作し、メーターをリセットします。
賃走（実車）: 乗客が乗車し、運送を開始する際に操作し、運賃の計算を開始します。割増時間帯には自動的に割増料金に切り替わり、時間帯が過ぎると通常運賃に戻ります。
支払: 目的地に到着し、運賃を確定する際に操作します。高速道路走行時は、機種によっては高速ボタンがない場合にこのボタンを使用します。
高速: 高速道路走行時に操作し、時間制運賃加算を停止します。
迎車: 無線配車などで客を迎えに行く際に操作し、迎車料金が表示されます。
待: 客を待つ際に操作し、時間制で料金が加算されます。
自家使用: 個人タクシーで自家用車として使用する場合に表示します。

表示機能

メーターは、運賃の他に、以下の情報を表示します。

必須表示: 運賃、メーターの状態（空車、実車、割増など）
任意表示: その他料金（迎車料金など）、割増率、料金上がり予告、走行距離、実車距離、空車距離、営業回数、以降回数など

多くの機種では、1日の売り上げなどをワンタッチで表示する機能も備えています。

プリンターとその他機器

多くのタクシーメーターは領収書発行用のプリンターを内蔵または接続しており、ドットインパクト式やサーマル式が主流です。また、クレジットカードや電子マネー決済に対応した機種もあります。タブレットやスマートフォンとの連携も可能な機種が登場しています。

装置検査と料金改訂

タクシーメーターは計量法と道路運送法により、1年ごとに装置検査を受けなければなりません。料金改訂時には、メーカーで調整後、検査所で検査を受ける必要があります。

違法行為

タクシーメーターの使用にあたり、以下の行為は違法です。

メーター不使用: メーターを使用せずに客扱いをすること。業界用語では「メーター不倒」「ゲンコツ」「エントツ」などと呼ばれます。
割増ボタンの不正使用: 割増時間帯以外での割増ボタン操作、または割増時間帯でのボタン操作忘れ。
高速道路での「高速」ボタン不使用: 高速道路走行中に「高速」ボタン（または「支払」ボタン）を操作しないこと。
偽装迎車・回送: 無線配車以外で迎車ボタンや回送表示を使用すること。
メーターの不正改造: 装置検査期限切れや封印の破損など。

これらの違法行為は、行政処分を受ける可能性があります。

歴史

タクシーメーターは1891年にドイツで発明されました。日本での導入は1912年で、その後、メーター制と市内均一料金制が併存する時代を経て、現在に至っています。

メーターメーカー

日本のタクシーメーター製造メーカーは、岡部メーター製造、ニシベ計器製造所、二葉計器などがあります。

タクシーメーターは、正確な運賃計算と、乗客・運転手双方にとって公平な取引を確保するために不可欠な機器です。適切な使用と管理が求められます。

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