タゴール国際大学

タゴール国際大学

タゴール国際大学（Visva-Bharati University）は、インドの西ベンガル州サンティニケタンに位置する国立大学です。1913年にノーベル文学賞を受賞したラビンドラナート・タゴールによって設立されました。彼の受賞資金を元に設立されたこの大学は、当初は私立の教育機関として始まりましたが、タゴールの死後、彼の親しい友人であり政治的指導者であるマハトマ・ガンディーの影響を受けて、1951年に国立大学に昇格しました。

この大学は、タゴールが「青空教室」と称する独特な教育方式を採用し、屋外で学ぶことを重視しています。タゴールは、知識は自然の中で自由に育まれるべきだと考え、伝統的な西洋教育への偏重を否定しました。彼はアジアの文化や価値観を尊重した教育を理想とし、日本言語文化研究所や中国言語文化研究所などを設立しました。

タゴールと日本の関係も特筆すべき点です。彼は日本の芸術家である岡倉天心と親交があり、彼の影響で日本との交流が続いています。1961年には、京都市立美術大学の助教授だった秋野不矩が客員教授としてタゴール国際大学に赴任しました。秋野はタゴールの教育理念について、「教育とは鞭で子供を強いるものではなく、大自然の中で隠者の教えを聞くように学ぶべきだ」と述べています。また、タゴール自身が私学時代に校長に迎えたクシティモハン・センは、後に大学の副学長に就任しました。

タゴール国際大学は、バウルと呼ばれるベンガルの音楽家との交流でも知られています。タゴールが彼らの歌に感動し、その影響を受けたことが、ノーベル文学賞受賞に繋がったとされています。大学は毎年、バウルたちを招いて祭りを開いており、その中で彼らの音楽や文化を広めています。シュナトン・ダシュ・バウルという音楽家は特に有名で、1961年には秋野不矩も彼と出会う機会がありました。秋野は、その際にダスの歌をカセットテープに録音し、インドの絵を描く際に聞くことが多かったと述懐しています。

このように、タゴール国際大学はタゴールの理念を受け継ぎながら、アジアの文化と教育を融合させた独自の教育環境を提供しています。また、大学が持つ国際的な視野は、教育だけでなく文化交流の場としても重要な役割を果たしています。なお、国立大学としては、学長がインド政府の首相によって兼任される慣例が存在しています。このような歴史的背景と多様な文化交流が、この大学の魅力を一層引き立てています。

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