タスマル

タスマル遺跡

タスマル（Tazumal）は、エルサルバドル共和国のサンタ・アナ県チャルチュアパ市に位置する重要なマヤ文明の遺跡です。キチェー語で「いけにえが焼かれたピラミッド」と意味するこの場所は、エル・トラピチェやカサ・ブランカといった地区を含むチャルチュアパ遺跡の一部を構成しています。また、タスマルのイメージはサルバドル・コロンの100セント紙幣にも描かれています。

発掘の歴史と認定

タスマルの発掘は、アメリカ人考古学者スタンリー・ボッグスによって1940年代から1950年代にかけて行われました。「タスマル遺跡」は、1947年には国の歴史記念物に指定され、重要な文化財として保護されています。遺跡は、テオティワカンの古代都市やトゥーラ・シココティトランに似た建築様式を有しており、主に大神殿（1号建造物、B1-1）とその西側にある小神殿（2号建造物、B1-2）で構成されています。

遺構と構造

タスマル遺跡は、大神殿と小神殿を中心に、13の建造物が確認されており、主に後古典期に建造された球戯場（3号建造物B1-3及び4号建造物B1-4）が現在も残っています。西側の地域は墓地として利用され、かつての5号建造物は破壊されました。残る7号から13号建造物は小規模な神殿や低基壇が良好な状態で保持されています。

タスマルは、チャルチュアパ遺跡の中でも独自の発展を遂げた場所であり、紀元4世紀以降、北のエル・トラピチェやカサ・ブランカから中心が移ったとされます。遺跡の都市圏は拡大し、特に紀元7世紀には新たな建物が建設されましたが、10世紀までタスマル地区が中心であったことが示されています。

建築の特徴

大神殿の建築には、少なくとも14の異なる段階が存在し、最古のものは紀元前6世紀に遡ります。また、最も新しい段階は6世紀から11世紀にかけてのものとされています。2003年から2004年にかけて行われた調査によれば、大神殿の基壇は北と西にそれぞれ30メートルほどあり、別の時期にピラミッドがその上に構築されたと考えられています。出土品には円筒形の土器やヒスイの断片が含まれています。

モニュメントと発見

19世紀末にはイグナシオ・バルベレーナが、大神殿の西側基壇近くで「タスマルの聖母」と呼ばれる21号モニュメントを発見しました。さらに、バルベレーナは6号建物付近で「うずくまったジャガー」という別の石造モニュメントも発見しており、これらは国立博物館に展示されています。

修復と現在の状況

2004年10月、ボッグスによって補強されていた小神殿の一部が倒壊しました。これを受けて、2005年から2006年にかけて、JICAとCONCULTURAが協力して修復と発掘調査を行いました。その結果、小神殿は石で築かれ、後古典期の特徴を持つことが確認されました。

ヌエボ・タスマル

ヌエボ・タスマル（Nuevo Tazumal）は、タスマル地区の北東に隣接するエリアで、2001年から2003年にかけて行われた発掘調査で多くの住居跡や低基壇の建造物が発見されました。これらは後古典期のもので、下层には古典期後期の遺跡があるとされています。

タスマルの遺跡群は、エルサルバドル及びメソアメリカの文化的な遺産を理解する上で非常に重要な位置を占めています。

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