テオティワカン

テオティワカンの概要

テオティワカンはメキシコシティから北東へ約50キロの位置にあり、紀元前2世紀から6世紀にかけて栄えた壮大な宗教都市遺跡です。この場所は、当時のアメリカ大陸で最大規模を誇り、メソアメリカの文化と宗教の中心地として機能していました。テオティワカンの名は「神々の都市」を意味し、ナワトル語に由来します。12世紀頃にこの地を訪れたメシカ人（アステカ人）が廃墟を発見し、名付けました。

計画された都市設計

テオティワカンはその宇宙観や宗教観を反映した計画的な設計が特徴で、中心には太陽のピラミッドと月のピラミッドが存在します。この二つの大きなピラミッドに加え、南北に約5キロにわたる「死者の大通り」が、都市の主要な道としてその役割を果たしていました。

都市内に祀られた神々は多岐にわたり、農業や文化と結びついたケツァルコアトルや水の神トラロックなどの神々が信仰されていました。テオティワカンの社会構造については詳細が不明ですが、神権的な権威や高度な階層制度が存在したと考えられています。

歴史的背景

この地域には紀元前50年ごろには集落が形成されていましたが、シトレ火山の噴火により近隣のクィクィルコが埋没しました。この災害を契機に人々はテオティワカンに移住し、急速に都市が発展することとなります。テオティワカンは紀元前後から7世紀半ばまでの間、4つの時期に分かれる繁栄を見せました。

1. ツァクアリ相（1年 - 150年）: テオティワカンが都市として成立し、太陽と月のピラミッドの建設が行われた時期。
2. ミカトリ相（150年 - 200年）: 死者の大通りが整備された時期。
3. トラミモルパ相（200年 - 350年）: 交通や水利のシステムが整い、祭祀と住宅も発展した時期。
4. ショロパン相（350年 - 650年）: 市の人口が最も増加し、国際的にも重要な地位を確立しました。

この都市は、古典期マヤ文明にも強い影響を与え、ティカルやコパンなど、他の都市での文化発展にも寄与しました。しかし、7世紀に入ると人口の集中によって急激な衰退が始まり、火災や森林破壊、旱魃などが影響を及ぼしました。最終的には、西暦650年頃に文明は崩壊し、住民は安全な土地を求めて去っていったとされています。

主な遺構

テオティワカンには、いくつかの重要な遺構が残されています。

• - 太陽のピラミッド: 高さ65メートル、底辺は222メートル×225メートル。
• - 月のピラミッド: 高さ47メートル、底辺140メートル×150メートル。
• - 死者の大通り: 南北を貫く長さ4キロメートル、幅45メートルの主要道路。
• - ケツァルコアトルの神殿: テオティワカンの重要な宗教的施設。
• - ケツァルパパロトルの宮殿: 市内に存在する他の重要な建造物。

テオティワカンは、1987年にユネスコの世界遺産に登録されており、今なお多くの観光客を惹きつけています。その壮大な遺跡と歴史の深さは、訪れる者に強い感動を与えることでしょう。

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