タチアナ・タラソワ

タチアナ・タラソワ：フィギュアスケート界のレジェンド

タチアナ・タラソワは、ロシアを代表するフィギュアスケートコーチであり、振付師です。1947年生まれ。選手として活躍した後、19歳でコーチに転身し、数々のオリンピック金メダリストや世界チャンピオンを育成したことから「金メダルメーカー」の異名をとります。2008年には世界フィギュアスケート殿堂入りを果たすなど、その功績は計り知れません。

華麗なる選手時代とコーチへの転身

タラソワは、選手時代、ペアで1964年冬季ユニバーシアードトリノ大会で優勝、1965年世界選手権7位、1966年欧州選手権4位という輝かしい成績を残しました。しかし、18歳という若さで怪我のため現役を引退することになります。ライバルとしてしのぎを削ったペアスケーターのアレクセイ・ミーシンとの関係も、フィギュアスケート史において興味深いエピソードとして語られています。

引退後、19歳という若さでコーチとしての道を歩み始めます。指導者としての才能はすぐに開花し、多くのスケーターを世界へと導きました。

育成したスタースケーターたち

タラソワが指導したスケーターは、シングル、ペア、アイスダンスと分野を問わず、世界で活躍するトップアスリートが多数います。その中には、

シングル：イリヤ・クーリック（1998年長野オリンピック金メダル）、アレクセイ・ヤグディン（2002年ソルトレイクシティオリンピック金メダル）、荒川静香（2006年トリノオリンピック金メダル）、浅田真央（2010年バンクーバーオリンピック銀メダル）
ペア：イリーナ・ロドニナ&アレクサンドル・ザイツェフ
アイスダンス：パーシャ・グリシュク&エフゲニー・プラトフ、ナタリア・ベステミアノワ&アンドレイ・ブキン、マリナ・クリモワ&セルゲイ・ポノマレンコ、バーバラ・フーザルポリ&マウリツィオ・マルガリオ

などが名を連ねます。これらの人材育成が、タラソワの「金メダルメーカー」という称号を不動のものにしています。長年にわたりアメリカを拠点に活動していましたが、現在はロシアに戻り、ロシアスケート連盟の顧問を務めています。2023年現在も76歳にして現役で活躍を続け、一部で囁かれた健康不安の報道も否定しています。

ゴージャスな個性と芸術性の高い振付

ゴージャスな毛皮のコートがトレードマークとして知られるタラソワは、振付師としても高い評価を得ています。バレエを思わせる芸術性の高いプログラムや、複雑で高度なステップを織り交ぜたプログラムは、見るものを魅了します。代表的な振付作品には、

オクサナ・グリシュク & エフゲニー・プラトフ「リベルタンゴ」
イリヤ・クーリック「Revolution」「ラプソディ・イン・ブルー」
アレクセイ・ヤグディン「アラビアのロレンス」
ジョニー・ウィアー「白鳥」
荒川静香「ロミオとジュリエット」
* 浅田真央「仮面舞踏会」「前奏曲「鐘」「白鳥の湖」「ピアノ協奏曲第2番」

などがあります。これらは、いずれも記憶に残る名演技として高く評価されています。

名コーチの血筋

タラソワの父は、アナトリー・タラソフ。ソビエト連邦のアイスホッケーコーチとしてオリンピック3連覇を達成した人物で、「ロシアホッケーの父」と呼ばれています。彼の著書『アイスホッケー入門』は世界各国で翻訳され、ホッケー界のバイブルとして知られています。タラソワの成功には、父からの影響も大きかったと考えられます。

タラソワは、ピアニストのウラジミール・クライネフと結婚しています。

タチアナ・タラソワは、フィギュアスケート界に多大な貢献をした、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい存在です。その功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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