タッチ (柔軟剤)

花王の柔軟剤「タッチ」は、1989年2月から2002年3月にかけて販売されていました。この製品が登場した背景には、ライオンが1988年に発売した、水分をよく吸収する柔軟剤「ソフト&ドライ」の存在があります。花王はこれに対抗し、同様のコンセプトを持つ製品として「タッチ」を市場に投入しました。

ボトルの形状は、花王の濃縮柔軟剤「ハミング1/3」と共通でしたが、色はパステル系のグリーンで差別化を図っていました。発売当初は、その名の通り水分をよく吸収する柔軟剤として展開されましたが、後年には抗菌作用を前面に押し出すように変化していきました。

「タッチ」の主な成分は、陽イオン系界面活性剤と抗菌剤です。これらの成分により、柔軟効果と抗菌効果を両立させていました。

しかし、2002年に花王は柔軟剤の製品ラインナップを見直し、「ハミング」ブランドへの統合を決定しました。これにより、「タッチ」は販売を終了し、代替製品として「抗菌プラスハミング」が発売されました。その後、「抗菌プラスハミング」は「抗菌ハミング」→「抗菌コートハミング」と製品名を変えながら販売されましたが、「ハミング レギュラー」や「フローラルハミング」と共に「ハミング」へ統合・再編され、2015年3月に製造を終えました。

「タッチ」の販売終了から4年後の2019年3月には、「ハミングLINNE（リンネ）」が発売されました。「ハミングLINNE」には、吸水性能を重視した「さらり」というラインナップがあり、「タッチ」の特徴の一つであった吸水性の流れを実質的に受け継ぐ製品となっています。ただし、「タッチ」と「ハミングLINNE」にはいくつかの違いがあります。液色が「タッチ」のパステルグリーンに対し、「ハミングLINNE」は白色～淡黄色であること、そして「ハミングLINNE」は花王の柔軟剤として初めての無香性である点が挙げられます。

「タッチ」は、時代のニーズに合わせて変化を遂げながら、花王の柔軟剤ブランドの一翼を担ってきました。その吸水性へのこだわりは、後継製品である「ハミングLINNE」にも受け継がれています。

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