タッデオ・ガッディ

タッデオ・ガッディ（Taddeo Gaddi, 1300年頃 - 1366年）は、初期ルネサンス期を代表するイタリアの画家、そして建築家としても知られています。彼は、ジョットの弟子としてその芸術的な才能を開花させ、祭壇画や壁画といった絵画作品を数多く手掛けました。また、建築家としては、フィレンツェを象徴する橋、ポンテ・ヴェキオの設計にも関わったと伝えられています。

生涯と作品

タッデオは、ガッド・ガッディの息子として生まれ、幼い頃から芸術に触れる機会に恵まれていました。彼は、巨匠ジョットの工房で絵画の基礎を学び、その才能を開花させました。チェンニーノ・チェンニーニの著書によると、ジョットはタッデオの代父であり、2人の関係は24年間にも及んだとされています。初期の作品である『聖フランチェスコの聖痕』（1325年頃 - 1330年）は、ジョットの様式を巧みに取り入れながらも、タッデオ独自の表現を模索していたことが伺えます。

タッデオの最も著名な作品の一つが、フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂にあるフレスコ画の連作です。この連作では、聖母マリアの生涯が描かれており、中でも『羊飼いへの天使の知らせ』は、光の表現へのタッデオの強い関心が顕著に表れています。彼は、光の描写を深く研究していましたが、その探求の過程で、1339年には目の負傷を負ってしまうという出来事もありました。これは、彼が光の効果を徹底的に追求していたことを物語るエピソードと言えるでしょう。

建築家としてのタッデオは、ポンテ・ヴェキオの他にもポンテ・トリニータの設計に関わったとされています。しかし、ポンテ・トリニータは16世紀に破壊されてしまい、現存していません。

タッデオがフィレンツェの美術家として重要な人物であったことは、以下の2つの事実からも明らかです。

ジョルジョ・ヴァザーリが著した『画家・彫刻家・建築家列伝』には、タッデオの伝記が掲載されている。
タッデオの名前は『フィレンツェにいた優れた名画家たち』のリストの筆頭に挙げられている。

タッデオには4人の息子がおり、そのうちの3人（ジョヴァンニ、アーニョロ、ニッコロ）は美術家として活躍しました。4番目の息子ザノービについては、美術家としての活動を示す確かな記録は残されていません。

タッデオ・ガッディは、ジョットの作風を継承しつつも、独自の光の表現を追求し、初期ルネサンス美術の発展に貢献した重要な画家であり建築家です。

作品

聖フランチェスコの聖痕（1325年頃 - 1330年）
サンタ・クローチェ聖堂のフレスコ画連作（1328年 - 1338年）
羊飼いへの天使の知らせ

脚注

[1]“Agnolo, Giovanni and Taddeo Gaddi”. Catholic Encyclopedia. 2007年1月29日閲覧。
[2]“Gaddi, Taddeo”. Web Gallery of Art. 2007年1月29日閲覧。
[3]“The Angelic Announcement to the Shepherds”. Web Gallery of Art. 2007年1月29日閲覧。

参考文献

“Agnolo, Giovanni and Taddeo Gaddi”. Catholic Encyclopedia. 2007年1月29日閲覧。
“Gaddi, Taddeo”. Web Gallery of Art. 2007年1月29日閲覧。
“The Angelic Announcement to the Shepherds”. Web Gallery of Art. 2007年1月29日閲覧。

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