タッピング奏法

タッピング奏法とは

タッピング奏法（タッピングそうほう）は、エレクトリックギターなどの弦楽器で使われる演奏技法の一つです。この奏法では、指で弦を叩くことによって音を出します。一般的なギター演奏法は、左手で弦を押さえるフィンガリングを行いつつ、右手で弦を弾くピッキングを用いますが、タッピング奏法ではこのアプローチが少し異なります。

基本的なテクニック

タッピング奏法の基本は、2つの主要な技法、すなわちハンマリング・オンとプリング・オフに基づいています。ハンマリング・オンでは、指で弦を叩き付けるようにして押弦し、プリング・オフでは押弦している指を弦に引っ掻けて離すことにより音を発生させます。この2つのテクニックを交互に行うことで、トリル奏法として知られる手法が生まれ、それをさらに発展させたのがタッピング奏法です。

タッピングの歴史

タッピング奏法は1950年代から既に見られましたが、広く認知されるようになるには時間がかかりました。1965年には、イタリア人ギタリストであるヴィットリオ・カマルデーゼがテレビ番組でこの奏法を披露しました。アメリカでは、ジャズ・ギタリストのロイ・スメックがウクレレの演奏でタッピングを実践していた記録も残っています。

特に、1970年代後半にはエディ・ヴァン・ヘイレンの登場がタッピング奏法の普及に大きく寄与しました。彼はデビューアルバム『炎の導火線』の中でタッピングを多用し、そのパフォーマンスは視覚的にも聴覚的にも新たなスタイルを確立しました。この影響で、タッピング奏法は多くのギタリストに取り入れられるようになりました。

タッピングのバリエーション

タッピング奏法には、片手、または両手を使う方法があります。片手タッピングは、さまざまな音を叩き出す演奏スタイルで、主にハンマリングとプリングを利用します。一方、両手タッピングは、両手を駆使して音を奏でる方法で、特にスタンリー・ジョーダンによって有名になりました。このスタイルは、タッチスタイルとも呼ばれ、まるで鍵盤楽器を演奏しているかのような感覚を持って演奏されます。

エレクトリックギターとの相性

エレクトリックギターは、ライトゲージの弦を多く用いられ、これがタッピング奏法を行いやすくしています。軽い弦は音の出しやすさと演奏の自由度を提供します。過去に比べて、細い弦はボディからの音の伝播が良く、強いディストーションをかけた場合でも音量差が出にくくなります。

まとめ

タッピング奏法は、エレクトリックギターに特有なテクニックで、ダイナミックかつ多様な音楽的表現を可能にします。この技法は、ロックやメタルを中心に多くのギタリストに取り入れられており、今日の音楽シーンにおいてもその影響力は計り知れません。タッピングはギタープレイのスタイルをさらに進化させ、新しいジャンルの創出を助けています。

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