タハリール・アル＝シャーム

タハリール・アル＝シャーム（HTS）について

タハリール・アル＝シャーム（Hayʼat Taḥrīr al-Shām）は、シリア内戦において注目されるサラフィー・ジハード主義の反政府武装組織です。HTSは2017年1月にアル＝ヌスラ戦線、アンサール・アッ＝ディーン、ジャイシュ・アッ＝スンナ、リワ・アル＝ハック、そしてヌールッディーン・ザンキー運動が統合することで結成されました。この組織はシリアのイドリブに本拠を構えていますが、その前身であるアル＝ヌスラ戦線としばしば同一視されています。

組織の背景

HTSはアル＝ヌスラ戦線の後継的な存在であり、しばしばアルカイダのシリア支部と見なされています。しかし、HTS自身は公式にアルカイダとの関係を否定し、自らを独立した組織と主張しています。そのため、ロシア連邦もHTSがシリアをイスラム帝国に変えるという目標を持っていると見ています。

軍事活動と対立

HTSはシリア軍やその支援を受けているロシア連邦軍と戦闘を続ける一方で、アメリカ軍からの攻撃にも直面しています。また、ISILやシリア解放戦線など、他の反政府武装勢力とも衝突しています。特に2017年7月にはヌールッディーン・ザンキー運動がHTSから離反し、その後も両者の間で激しい戦闘が繰り広げられました。

進展と戦闘の局面

2018年には、シリア軍が攻勢を強める中、HTSはシリア解放戦線との連携を試みて抵抗を行いましたが、衝突が続きました。19年1月にはイドリブ県全域を掌握する一方で、その後数か月にわたりシリア政府軍とロシア軍による攻撃を受けました。

さらに、同年10月、イドリブ県北部のバーリーシャー村でISILの指導者バグダーディーが隠れていることが発覚しました。HTSはその周囲を封鎖し、米軍によるバグダーディー暗殺作戦に協力する姿勢を示しました。

現在の状況

2022年の時点で、HTSはイドリブ近郊を掌握し、訓練キャンプなどの拠点を維持して活動を続けています。シリア内戦は複雑な状況が続いており、HTSの動向も今後のシリア情勢に大きく影響を与える可能性があります。国際社会はこの地域の安定化を目指しており、HTSの役割がどのように変わるかに注目が集まっています。

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