タバコ・ロード

タバコ・ロード

『タバコ・ロード』は、アースキン・コールドウェルが1932年に発表した小説であり、それを原作とした戯曲、映画作品です。

小説

小説は、アメリカ合衆国南部ジョージア州のタバコ栽培地帯を舞台に、社会の発展から取り残された、いわゆる「プア・ホワイト」と呼ばれる貧困層の農民たちの過酷な生活を描いています。彼らの日常を通して、貧困、無知、そして退廃といった社会問題を浮き彫りにしています。

ストーリー

物語の中心となるのは、貧しい農民ジーター・レスターとその家族です。日々の食糧にも事欠く彼らは、娘婿のラヴからカブラを奪い取って食べるなど、なりふり構わない生活を送っています。ラヴは末娘パールとの結婚について話に来たものの、まともに話もできずに帰ってしまいます。

未亡人の女説教師シスター・ベシーは、一家の息子デュードと再婚し、財産を使い果たして車を買います。ジーターと共に薪を売りにオーガスタへ向かいますが、うまくいきません。その夜、泊まったホテルで売春婦のようなまねごとをする始末です。

生活に困窮した一家は、長男トムに援助を求めますが、冷たくあしらわれます。このことがきっかけで、ジーターとシスター・ベシーは喧嘩別れしてしまいます。また、口減らしのためにラヴに嫁がせた末娘のパールが家出したため、今度は兎唇の娘エリー・メイをラヴにあてがおうとします。

物語の終盤、家族はジーターと妻エーダの2人だけになります。3月のある日、ジーターが放った野火がボロ家に燃え移り、2人は焼け死んでしまいます。

登場キャラクター

ジーター・レスター: レスター家の家長。日々の糧を得るにも苦労する貧しい農民。
エーダ: ジーターの妻。17人の子供を持つ。
エリー・メイ: 18歳の兎唇の娘。後にラヴと結婚する。
デュード: ジーターの息子。シスター・ベシーと結婚する。
パール: ジーターの末娘。口減らしのためにラヴに嫁ぐが、後に家出する。
トム: ジーターの長男。町で成功しているが、家族とは絶縁状態。
シスター・ベシー: 未亡人の女説教師。デュードと結婚する。
ラヴ: 石炭落としの仕事を持つ、パールの夫。

演劇

ジャック・カークランドによって戯曲化されました。

映画

アースキン・コールドウェルの小説、およびジャック・カークランドの戯曲を原作とした映画作品です。

日本では、アメリカ公開から47年後の1988年に公開されました。

キャスト

ダナ・アンドリュース
チャールズ・グレープウィン
ジーン・ティアニー
マージョリー・ランボー
ウィリアム・トレイシー
スリム・サマーヴィル
* ウォード・ボンド

『タバコ・ロード』は、アメリカ南部の貧困と社会問題を容赦なく描き出した作品として、長く読み継がれています。

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