アースキン・コールドウェル

アースキン・プレストン・コールドウェル（1903年 - 1987年）は、アメリカ合衆国の小説家、劇作家として、20世紀のアメリカ文学に大きな足跡を残しました。

ジョージア州の郊外で生まれ、父親は聖職者でした。大学には進学しましたが、卒業はしていません。スポーツにも親しみ、フットボールに打ち込む一方で、ブルーカラーの人々や労働者たちと交流し、彼らの生活に深く共感しました。

コールドウェルの作品は、自身の経験に基づき、貧困にあえぐ人々の生活をリアルに描き出しています。特に、アメリカ南部の低所得者層や小作人の姿を、時にユーモラスに、時にシリアスに表現し、社会の不条理を浮き彫りにしました。

代表作である『タバコ・ロード』は、貧困にあえぐ一家の姿を通して、社会問題を提起した作品です。また、『神の小さな土地』は、宗教と人間の欲望をテーマにした作品で、いずれも多くの読者を獲得し、高い評価を受けています。

1939年から1942年まで、写真家のマーガレット・バーク＝ホワイトと結婚しており、共同で写真集『You Have Seen Their Faces』（1937年）を制作しています。この作品は、大恐慌時代のアメリカ南部の貧困層の生活を記録したもので、社会的な反響を呼びました。

主な作品

『タバコ・ロード』 (1932年)
『神の小さな土地』 (1933年)
『巡回牧師』 (1935年)
『昇る太陽に脆く』 (1935年)
『南部かたぎ』 (1938年)
『七月の騒動』 (1940年)
『ジョージア ボーイ』 (1943年)
『悲劇の土地』 (1944年)
『神の確かな手』 (1947年)
『コールドウェル自伝（わが体験）』 (1951年)
『恋と金』 (1954年)
『グレタ』 (1955年)
『孤独なアメリカ人たち』 (1957年)
『噂の女クローデル』 (1958年)
* 『ビスコを尋ねて』 (1965年)

コールドウェルの作品は、アメリカ文学だけでなく、世界の文学にも影響を与えました。彼の作品は、社会の底辺で生きる人々の声なき声に耳を傾け、彼らの苦しみや喜びを、力強く、そして繊細に描き出しています。

彼の作品は、時代を超えて、私たちに社会のあり方や人間の尊厳について考えさせます。

もう一度検索