タバレ・バスケス

タバレ・ラモン・バスケス・ロサス：ウルグアイ初の左派大統領

タバレ・ラモン・バスケス・ロサス（Tabaré Ramón Vázquez Rosas、1940年1月17日 - 2020年12月6日）は、ウルグアイの政治家であり、医師でもありました。彼は第39代および第41代のウルグアイ大統領を務め、左派連合拡大戦線の代表として2004年の選挙で当選し、2005年3月1日に大統領に就任しました。これはウルグアイ初の左派政権の誕生となりました。

生涯と経歴

バスケスはモンテビデオ近郊で育ち、1972年に医科大学を卒業。その後、1976年にはフランス政府の奨学金を得てパリで研究を行いました。彼は1960年代からウルグアイ社会党を支持し、1985年の民政移管後に政治家として頭角を現します。1988年には恩赦法に関する国民投票委員会の財政部門責任者となりました。

1990年にはモンテビデオ市長に選出され、1995年までその職を務めました。彼は1994年と1999年にも大統領選挙に出馬し、1996年には左派連合の代表となっています。2004年の選挙では、絶対多数となる51.7%の得票（1,124,761票）を得て当選を果たしました。2014年の大統領選挙でも再選され、2015年3月1日に2期目の大統領としての任期を開始しました。

大統領在任中、彼は1期目の2006年に南米で初めて屋内の公共の場での喫煙を違法とする禁煙政策を実施しました。しかし、自身も2019年8月の定期健康診断で肺に腫瘍が見つかり、肺がんの治療を受けました。2期目の大統領退任から9ヶ月後の2020年12月6日、彼は自宅で亡くなりました。

エピソード

2015年10月、バスケスはパリへの公式訪問のために飛行機で移動中、ピーナッツアレルギーを発症し危険な状態に陥っていた10代のフランス人女性を、自身の主治医と共に治療し救いました。また、これ以外にも2005年と2010年にも機内で発生した急患に対応したことが知られています。

日本との関係

バスケスは大変な親日家としても知られています。1981年には腫瘍医としての研修のため3ヶ月間京都に滞在し、1985年には神戸で開催されたユニバーシアードに参加するなど、多くの訪日歴があります。大統領就任後の2015年11月にも日本を訪問しています。

2018年12月3日には、日本の総理大臣として初めて安倍晋三がウルグアイを訪問し、バスケスと会談し、現地の日系ウルグアイ人と懇談を行いました。会談では、牛肉の相互輸出解禁などが確認されました。安倍晋三総理大臣は、この訪問が二国間関係、特に経済関係を深化させる好機であると述べ、日本とウルグアイは地理的に離れているものの、互いにとって「重要なパートナーである」と語りました。また、同日付のエル・パイスの書面インタビューで、安倍晋三総理大臣は、この訪問を機に日本とウルグアイの100年にわたる歴史的友好関係に新たなページを開きたいと述べています。そして、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する重要なパートナーとして、今後も経済関係強化に向けた法的枠組み整備や日本企業のウルグアイ進出を支援することにより、両国の経済関係の発展を推進したいと語りました。

タバレ・バスケスは、ウルグアイの政治史において重要な役割を果たした人物であり、彼の政策とリーダーシップは、ウルグアイ社会に大きな影響を与えました。また、日本との友好関係を深めた功績も忘れてはなりません。

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