タミル川

タミル川は、モンゴル国アルハンガイ県に位置するハンガイ山脈の渓谷からオルホン川へと注ぐ河川です。その歴史は古く、モンゴル帝国の時代から人々に知られていました。

『元朝秘史』には「塔迷児(Tamir)河」としてその名が記されており、当時から重要な河川として認識されていたことが窺えます。「タミル」という名称はモンゴル語で「活力」を意味し、豊かな水流がもたらす恵みを象徴していると考えられます。

タミル川は、源流を異にする2つの主要な支流から構成されています。これらはそれぞれ、北タミル（ホイト・タミル・ゴル）と南タミル（オルド・タミル・ゴル）と呼ばれています。北タミルは「後タミル」、南タミルは「前タミル」とも呼ばれます。

清代に編纂された地理書『蒙古遊牧記』には、北タミルは南タミルの西北300支里に位置する枯庫嶺から流れ出し、南タミルはハンガイ山の北麓を源流とすることが記されています。これらの記述から、タミル川が広大な地域を潤す重要な水資源であったことがわかります。

タミル川は、その豊かな水流によって周辺の生態系を支え、遊牧民の生活を支えてきました。現在も、その恩恵は変わらず、地域住民にとって重要な存在であり続けています。

参考文献
村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1976年
原著：張穆／訳者：須左嘉橘『改稿　蒙古遊牧記』開明堂出版部、1939年

関連項目
* オルホン川

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