タミー・テレル

タミー・テレル：モータウンの星

タミー・テレル、元々の名はタミー・モンゴメリーとして1945年にフィラデルフィアで誕生しました。彼女の父は床屋の経営者、母は女優というバックグラウンドを持つ家族に生まれ、タミーは幼い頃から音楽的な才能を見せていました。

彼女は10代で音楽キャリアをスタートし、いくつかのレコード会社で録音を行いますが、1965年にモータウンと契約します。モータウンでは、1967年からマーヴィン・ゲイとのデュエットが彼女を一躍スターダムに押し上げます。二人は「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」などのヒットを出し、アメリカの音楽シーンで確固たる地位を築きました。

タミーは幼少期から偏頭痛に悩まされていましたが、その根本的な原因が脳腫瘍という深刻なものであることは、なかなか理解されませんでした。彼女は公演中に倒れ、医師の診察の結果、右側に悪性腫瘍が見つかります。その後、タミーは複数の手術を受けますが、病気は進行し続け、1969年までにステージから引退を余儀なくされます。

彼女の最後の大仕事は、モータウンのヒットソング「ユーアー・オール・アイ・ニード・トゥ・ゲット・バイ」のレコーディングで、残念ながら、彼女の体調は急激に悪化していました。1969年には、かつてのように新しい音源を録音することができず、最初で最後のソロ・アルバム「イレジスティブル」が1969年にリリースされました。このアルバムには、キャリア初期に録音された楽曲が収められています。

タミーは音楽の舞台から退きましたが、同時期にマーヴィン・ゲイの公演に車椅子で訪れ、再び共演することが叶いました。それが彼女にとって最後のパフォーマンスとなります。タミーは1970年、ついに脳腫瘍により24歳という若さでこの世を去りました。彼女の葬儀には、母親の意向によりモータウン関係者の参加は制限されましたが、マーヴィンだけは許され、共に「ユーアー・オール・アイ・ニード・トゥ・ゲット・バイ」の中で追悼の言葉をかけました。

タミー・テレルの短い生涯と彼女が残した音楽は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼女のデュエットの数々は、モータウンの名曲として放送され、再評価されています。また、彼女の死後も、マーヴィン・ゲイは彼女の影響を受け続け、彼の人生における重要なテーマにもなりました。タミーは、その才能と魅力で音楽界に名を刻んだレジェンドであることは間違いありません。

もう一度検索