エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ

エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ

「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」（Ain't No Mountain High Enough）は、マーヴィン・ゲイとタミー・テレルが1967年に発表した、時代を超えて愛される楽曲です。作詞・作曲は、後に夫婦デュオとして名を馳せるニコラス・アシュフォードとヴァレリー・シンプソンが手掛けました。

オリジナル・ヴァージョンの誕生

この楽曲は、ゲイとテレルのアルバムを手がけたプロデューサーチーム、ハーヴィー・フークワとジョニー・ブリストルからの依頼によって生まれました。当時、ダスティ・スプリングフィールドもこの曲の録音を希望していましたが、アシュフォードとシンプソンは「モータウンへの入り口となるべき曲」と考え、スプリングフィールドの依頼を断ったというエピソードが残っています。

レコーディングは、リズム・セクション、ホーン・セクション、テレルの歌、ゲイの歌がそれぞれ別々に行われました。ファンク・ブラザーズのドラマーであるユリエル・ジョーンズは、「ラジオでこの曲が流れるまで、完成された曲を聴いたことがなかった」と語っています。

このオリジナル・ヴァージョンは、アメリカのBillboard Hot 100で19位、『ビルボード』のR&Bシングル・チャートで3位を記録しました。また、『グッドナイト・ムーン』、『タイタンズを忘れない』、『ブエノスアイレス恋愛事情』など、数多くの映画のサウンドトラックに使用され、幅広い世代に親しまれています。

ダイアナ・ロスによるカヴァー

ダイアナ・ロスは、シュープリームス在籍時にテンプテーションズとのコラボレーション・アルバムでこの曲をカバーしました。その後、初のソロ・アルバムで再びこの曲を取り上げ、1970年にシングル・カット。作者のアシュフォードとシンプソンがプロデューサーも兼任しましたが、モータウンの社長ベリー・ゴーディは当初、両名のアレンジを気に入らず、シングル曲の候補には考えていなかったそうです。

しかし、ロスのソロ・ヴァージョンは、Billboard Hot 100と『ビルボード』のR&Bシングル・チャートの両方で1位を獲得。第13回グラミー賞では最優秀女性コンテンポラリー・ボーカル・パフォーマンス賞にノミネートされるなど、高い評価を受けました。また、2005年のアニメ映画『チキン・リトル』のサウンドトラックにも使用されています。

その他のカヴァー・ヴァージョン

「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は、数多くのアーティストによってカヴァーされています。

ヒュー・マセケラ
ヴァン・マッコイ&ザ・ソウル・シティ・シンフォニー
ボーイズ・タウン・ギャング
ジミー・バーンズ
映画『天使にラブ・ソングを2』キャスト
モンテル・ジョーダン&チャカ・カーン
マイケル・マクドナルド
ジミー・ソマーヴィル
エディ・マネー
Little Glee Monster
ノーナ・リーヴス&真城めぐみ
ザ・ペンフレンドクラブ

これらのカヴァー・ヴァージョンは、それぞれ独自の解釈が加えられ、楽曲の新たな魅力を引き出しています。

「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」は、時代やジャンルを超えて、多くの人々に愛され続ける不朽の名曲です。

もう一度検索