タリーカ

タリーカの概念と歴史

タリーカ（阿: طريقة）は、スーフィズムにおける教団を指し、アラビア語で「道」という意味を持ちます。この呼称は、スーフィズムの修行を行うプロセスや、それを実践する共同体に広がりました。修行者はバイア（師弟の誓い）を交わすことでタリーカに加わることができ、その修行は段階的な構成がなされています。修行を終えることで、イジャーザという修了証が得られ、後進への教えの伝授が許可されます。このような師弟関係の系譜をスィルスィラと呼び、最上位には預言者ムハンマドが位置し、タリーカのイスラム的正統性を示しています。

タリーカの歴史的発展

タリーカの登場は、9世紀半ばから始まるスーフィズムの思想体系の確立と密接に関連しています。「師を持たない者には悪魔が師となる」という教えが示すように、単独での修行は危険とされ、早くから導師と弟子の共同体が形成されました。スーフィズム初期の修行法はすでに体系化されており、これが「ターリカ」として知られています。

12世紀ごろからは、さまざまなスーフィズムの教団が実際に設立され始め、それぞれのタリーカはしばしばその指導者や創立者の名が冠されています。タリーカのメンバーは道場に集まり、スーフィズムの教義を学ぶほか、共同で修行に努めました。これらの共同体は、スピリチュアルな成長を目指す人々にとって重要な役割を果たしました。

また、13世紀から17世紀にかけては、タリーカは徐々に組織規模が拡大し、ウマル・スフラワルディーの著作『知恵の恩恵』が広く受け入れられるようになります。この時期、初期スーフィズムに見られた隠遁生活や独身主義の伝統が薄れ、その結果、組織自体も次第に官僚的な性格を持つようになりました。指導者の世襲が一般化し、タリーカは少しずつ衰退の道を辿りましたが、その過程で分岐や新しい流派の誕生も見られ、多くのタリーカが現存しています。

参照文献

• - ティエリー・ザルコンヌ著『スーフィー：イスラームの神秘主義者たち』創元社（2011年）
• - 高橋圭著『スーフィー教団：民衆イスラームの伝統と再生』山川出版社（2014年）

タリーカは、スーフィズムの精神的な道筋を提供し、末永くその教えを受け継ぐための重要な組織となっています。

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