タリー・フィッシャー関係

タリー・フィッシャー関係について

タリー・フィッシャー関係は、1977年にR. ブレント・タリー氏とJ. リチャード・フィッシャー氏によって導入された、渦巻銀河に関する重要な経験則です。この関係は、銀河の絶対等級や光度と、その銀河の回転速度幅との間の相関を示しています。具体的には、銀河の光度がその回転曲線の大きさに依存していることを示しており、これにより銀河の質量を推定する新しいアプローチが可能になります。

光度とは、銀河から放出される光のエネルギーの量を指し、銀河までの距離が既知であれば相対光度を利用して計算できます。また、銀河の速度幅は、スペクトル線の偏移やドップラー効果を通じて求めることができます。このようにして得られた光度と速度幅との定量的な関係は、一定の波長に依存し、一般的には光度が速度の4乗に近い形で比例することが知られています。

このタリー・フィッシャー関係を利用することで、絶対等級の測定が困難な銀河においても比較的手軽に速度幅から推定できるため、天文学者にとっては非常に有用な法則となっています。相対光度と逆二乗の法則を組み合わせれば、遠い銀河までの距離を推測することができ、宇宙の構造に関する理解を深める手助けとなっています。

また、銀河内にある恒星の運動は重力によって管理されており、そのため銀河の回転曲線の大きさは、その銀河の重力質量に直結しています。タリー・フィッシャー関係は、銀河の恒星質量を決定づける光度と、重力質量に基づく回転曲線の大きさとの間に強い相関が存在することを示す観測結果として、天文学的に非常に興味深いものであります。

ただし、このタリー・フィッシャー関係は、楕円銀河には適用されません。楕円銀河においては、フェイバー-ジャクソン関係という類似した経験則があることが知られています。この二つの経験則は深い科学的意義を持っており、銀河の様々な構造や性質を理解する手助けとなります。

さらにこの経験則は、修正ニュートン力学という理論に基づいて説明できる可能性があることも指摘されています。つまり、タリー・フィッシャー関係がどのように成り立っているのか、もっと深い物理の法則によって解明される余地があると考えられています。

いずれにせよ、タリー・フィッシャー関係は、銀河の構造や質量を理解するユニークで強力な手段を提供し、宇宙の距離を測定するための基本的な工具ともなっています。これにより、さまざまな銀河の形成と進化の過程を分析するための大きな足がかりが与えられています。

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