タルボ (自動車メーカー)

タルボ（タルボット）について

タルボ、またはタルボット（Talbot）は、かつてイギリスとフランスで展開されていた自動車ブランドです。1903年にサー・チャールズ・タルボットの支援のもと設立され、フランスのクレメント・バイヤードを輸入販売する企業としてスタートしました。設立当初はメーカーの完成車を輸入して、クレメント-タルボットというブランド名で販売し、後にロンドンで部品を組み立て、タルボットブランドを立ち上げました。

1906年から1910年にかけて、月産50〜60台の生産を行い、第一次世界大戦中には救急車の製造も手掛けました。しかし、1919年にはダラックというフランスに本拠をおく会社に買収され、ダラック製の自動車は「タルボ-ダラック」ブランドで販売されるようになりました。1916年にはジョルジュ・ローシュが設計主任として参加し、1920年代前半には彼の手による傑作が続々と登場し、1930年代には競技用車両もレースで活躍を遂げました。

1935年にSTDモーターズが破綻すると、イギリスのブランドはルーツ・グループに引き継がれ、フランスの工場はアンソニー・ラーゴに譲渡されました。ルーツ・グループは、技術力よりも利益重視の方針を取り、ブランドのリバッジを行いました。1938年にはサンビームとの統合により「サンビーム-タルボット」という新たなブランド名が誕生しましたが、第二次世界大戦勃発によりその生産は一時中断されました。戦後の1946年から生産が再開されましたが、1955年にはタルボットブランドは消滅し、サンビームブランドのみが存続しました。

フランスにおいては、ラーゴがタルボ-ラーゴというブランドを立ち上げましたが、1959年にシムカに買収され、1960年まで続きました。その後、1967年にクライスラーがルーツ・グループとシムカを買収し、これによりタルボットブランドも再び注目されることとなりましたが、クライスラー傘下ではブランド名が変更されることもありました。

1978年、タルボットブランドが復活し、新たに販売された製品には再びタルボットの名前が冠されました。1980年代に入ると、タルボット・ソラーラやタルボット・タゴーラなどが登場するものの、人気を得ることはできませんでした。1984年までには多くのモデルがリバッジされると同時に、生産が次第に終息を迎えました。1986年にはタルボットの乗用車全てが製造終了となり、商用車タルボ・エクスプレスのみが1992年まで生産されました。

最後に、タルボブランドは2008年になってから、低価格市場向けの新ブランド名として復活が検討されていましたが、具体的な製品には至りませんでした。多くの車両が様々なブランド名のもとで生産されたタルボットは、独自の存在感を持つ自動車ブランドとして、今後も自動車産業の歴史の中で語り継がれることでしょう。

車種一覧

• - タルボ・1510/タルボット・アルパイン
• - タルボ・ソラーラ
• - タルボ・タゴーラ
• - タルボ・サンバ
• - タルボ・エクスプレス
• - タルボット・アヴェンジャー
• - タルボット・サンビーム
• - タルボット・ホライズン

モータースポーツの貢献

1950年にはル・マン24時間レースでの優勝が有名です。この大会では親子が共に優勝したという快挙も成し遂げています。また、1981年から1982年にはF1チームのリジェをサポートし、タルボの名はさらに広まりました。タルボのエンジンを供給したマトラは、かつての栄光を取り戻そうと挑戦を続けました。タルボットはその名を残す結果となり、今もなお自動車史において重要な意味を持っています。

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