タロとジロ

タロとジロの感動の物語

タロとジロは、1955年に生まれた樺太犬の兄弟で、日本が南極で行った初期観測隊に連れて行かれました。彼らは南極での越冬中に特殊な運命に見舞われ、当時の南極観測の歴史に永遠に刻まれることになりました。

生い立ち

二匹は1956年1月、稚内市で風連のクマとクロの子犬として生まれました。犬飼哲夫教授によって名付けられたそれぞれの名前は、白瀬矗が南極探検の際に使用した樺太犬に由来しています。当時、約1,000頭の樺太犬が北海道にいましたが、犬ぞりに適しているのはごくわずかの犬だけでした。この中からタロ、ジロ、そして兄弟のサブロを含む数頭が選ばれ、訓練が施されました。

第一次南極観測隊

1956年11月、日本の第一次南極観測隊は、タロとジロを含む22頭の樺太犬と共に南極へと向かいました。特に暑さに弱い樺太犬たちのために、冷房装置を備えた特別室が観測船「宗谷」に設けられました。観測隊員の中には、犬に関する世話を担当する助手が選ばれ、南極での生活が始まりました。1947年12月、宗谷が南極に到着すると、タロとジロは数頭の犬たちと共に厳しい環境に挑むこととなりました。

奇跡の生存

南極での生活が続く中、悪天候により観測隊が計画を断念し、タロとジロは放置されることとなりました。しかし、1959年1月14日、第三次越冬隊のヘリコプターにより、昭和基地で2頭の犬が生存していることが確認されました。操縦士の呼びかけに応じ、タロとジロは再会を果たしました。彼らはどうにかして厳しい環境を生き抜き、他の6頭の犬たちが亡くなる中で自らを守り続けました。

帰国とその後

タロは1961年に日本に帰国し、その後は北海道大学植物園で飼育されました。老衰のため1970年に亡くなったとき、周囲からは長い間彼らが生き続けたことに感謝の声が上がりました。一方、ジロは1960年7月に昭和基地で病死しましたが、その後の剥製は国立科学博物館で展示されました。

映像化と評価

タロとジロの物語は多くのメディアにも取り上げられ、1983年の映画『南極物語』を始め、テレビドラマやアニメでも描かれるようになりました。また、彼らの生還は日本中に感動をもたらし、歌や記念像など多くの文化的な出来事が生まれました。さらに、慰霊祭が毎年行われるようになり、観測隊に参加した樺太犬たちの役割が広く認識されるきっかけとなりました。

まとめ

タロとジロの物語は、南極という過酷な環境での生存の奇跡を示すものであり、彼らが生きた時代の中でも特に感動的なエピソードとして語り継がれています。2頭の兄弟犬が生き延びた事実は、科学と人間愛の結びつきを表しています。

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