犬飼哲夫

犬飼 哲夫について

犬飼哲夫（いぬかいてつお、1897年10月31日 - 1989年7月31日）は、長野県で生まれた日本の動物学者です。彼は農学部および理学部で教授を務め、特に哺乳類や鳥類に関する研究で名を馳せました。彼の学問的な名は「犬飼哲夫」として知られていますが、公文書上では「犬飼哲男」と記載されることが多かったようです。

学歴と研究の旅路

犬飼は長野県立松本中学校を卒業後、北海道帝国大学に進学します。彼は動物学分科において、発生学者の八田三郎の指導のもと、学びを深めました。1920年代には動物発生学者として活躍していましたが、1930年頃に眼を痛めたことを契機に、主に哺乳類の応用動物学的な研究へとシフトしていきました。

1929年に北海道大学に新設された理学部の教授と兼任し、1945年以降は農学部で有害哺乳類の研究を指導するなど、多岐にわたる業績を残しました。彼の研究対象にはカラスやヒグマ、ノネズミといった様々な生物が含まれます。

重要なプロジェクトと業績

犬飼は1930年代から40年代にかけて、礼文島と利尻島へのニホンイタチ放獣プロジェクトを通じて、ノネズミの天敵の導入を試みました。また、1931年と32年には北海道及びサハリンにおけるナキウサギの生態に関する研究を発表しました。

彼は1961年に北海道大学を定年退職しましたが、1998年7月31日に逝去するまでの間、野兎研究会の初代会長などを務め、その影響力を持ち続けました。また、南極地域観測隊の樺太犬（タロとジロなど）の飼育に関する仕事でも知られています。

書籍と論文

犬飼哲夫は多くの著書を執筆しています。代表的な著作には『熊に斃れた人々』や『ヒグマ: 北海道の自然』などがあり、動物の生態や彼の研究活動に基づく貴重な資料が多数存在します。また、彼の論文も多数発表され、動物学の分野に貢献しました。

特に、彼が行ったカラスの生態研究や野鼠に関する実験生態学的な研究は、後の研究に大きな影響を与えています。

受賞歴

彼の功績は多くの賞に評価され、1962年には北海道文化賞、1963年には北海道新聞文化賞を受賞しました。また、1968年には勲二等瑞宝章、1974年には北海道開発功労賞を受賞しています。これらの栄誉は、彼がどれほどの影響力を持った動物学者であるかを物語っています。

最後に

犬飼哲夫の長い生涯は、彼の情熱と研究への貢献で満ちていました。彼の業績は、動物学や生態学の領域において非常に重要な位置を占めており、後世にわたり多くの人々に影響を与え続けています。

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