タンクレード・ネーヴェス

タンクレード・デ・アルメイダ・ネーヴェス

タンクレード・デ・アルメイダ・ネーヴェス（Tancredo de Almeida Neves、1910年3月4日 - 1985年4月21日）は、ブラジルの著名な政治家及び弁護士であり、彼の政治キャリアはブラジルの歴史に重要な足跡を残しています。特に、1985年に実施された大統領選挙において、彼は大統領候補として当選したものの、健康上の理由で就任することが叶わなかったことが最大の悲劇として記憶されています。

生い立ちと学歴

ネーヴェスは、ミナスジェライス州で生まれました。彼はミナス・ジェライス連邦大学で法学を学び、1930年代初頭にはその法律知識を活かして政治の世界に足を踏み入れました。具体的には、1934年にサンジョアン・デル・レイ市の市議会議員に選出され、政界入りを果たします。

政治キャリアの始まり

1947年、ネーヴェスはブラジル社会民主党（PSD）に入党し、ミナス・ジェライス州議会議員として活動を開始しました。その後、連邦議会議員としての役割も担い、1953年には第二次ヴァルガス政権下で法務大臣に就任します。1956年から1960年にかけては、クビチェック政権の下でも法務大臣を務め、彼の法的な知識と経験を生かして国の政治に大いに貢献しました。

知事および大統領選出

1983年にはミナス・ジェライス州の知事に選出され、地元における彼の人気はさらに高まりました。1985年には74歳でありながら、間接選挙を経て大統領候補として選ばれました。この選挙は野党であったブラジル民主運動党（PMDB）からの支持を受けて行われ、結果として彼は480対180という巨額の差をつけて選出されました。この時、彼には文民大統領として21年ぶりに国家を導く期待が寄せられていました。

大統領就任前の不運

しかし、彼の運命は大きく変わることとなります。1985年3月14日、大統領就任式の前夜、参加していたミサ中に突然倒れ、病院に搬送されました。その後、7回の手術を受けることとなり、国民は彼の快復を心から願いましたが、38日後の4月21日にサンパウロで惜しくも亡くなってしまいました。彼の死は多くの人々に衝撃を与え、国民たちは喪失感に苛まれることとなりました。

彼の遺産

ネーヴェスの大統領職は、副大統領のジョゼ・サルネイによって代行され、彼自身が大統領に就任することはありませんでした。しかし、彼の政治キャリアや人柄は後世にわたって語り継がれ、ブラジル社会民主党の党首であるアエシオ・ネーヴェスは彼の孫にあたります。このことからも、彼の家族は政治的な影響を受け続けており、彼の存在が今もなおブラジルの政治に影響を与えていることがわかります。

ネーヴェスの生涯は、ブラジルの政治史において特異なものであり、国民からの期待とその後の不運の連続は、彼が果たすことができなかった大統領職への思いをより一層強くするものでした。

もう一度検索