タンゴスジシマドジョウ

タンゴスジシマドジョウ（丹後條縞泥鰌）

タンゴスジシマドジョウ（Cobitis takenoi）は、日本の京都府丹後半島特有の淡水魚で、シマドジョウの一種です。この魚は本州の特定の河川にのみ分布しており、その生息環境や形態的な特性から、多くの研究者の関心を集めています。

分布（生息環境）

タンゴスジシマドジョウは、本州の京都府丹後半島にある特定の河川にしか生息していません。この魚が好むのは、流れが緩やかで、植生が豊富な砂底の場所です。生態に関する詳細は不明な部分が多いものの、繁殖期はおそらく5月から7月にかけて行われ、岸辺の植物に移動して産卵する可能性があります。

形態的特徴

この魚は、背鰭がii+7、臀鰭がii+5、胸鰭がi+7または8、腹鰭がi+6、尾鰭が8+8という特定の形態的数値を持ちます。また、口髭は3対あり、そのうちの第2口髭は目の直径とほぼ同じ長さです。体の背部にある斑紋は、11〜16の四角形または楕円形の列を形成します。

異なる個体間での体側の斑紋は変異が大きく、繁殖期のオスではその斑紋が明瞭な縦の線に変わることが特徴です。さらに、尾鰭と背鰭には3〜4列の弓状の横帯が見られ、尾の付け根にははっきりとした黒点が存在します。

体長は65〜85mmで、性別によっても斑紋の種類が異なる点は興味深いです。オスの胸鰭に見られる骨質盤は円形であり、種としての特徴を強調しています。

研究の歴史

この魚は2010年に竹野誠人らによって最初に認識され、その後2012年にタンゴスジシマドジョウという標準和名が与えられ、2016年には新種として記載されました。種小名であるtakenoiは、発見者である竹野に敬意を表したものです。長い間オオガタスジシマドジョウとして知られていたため、特有の地方名は存在しません。

福井県三方湖からは正体不明の個体群が報告されており、これはタンゴスジシマドジョウに近いと考えられています。さらに、遺伝子解析により、この魚は琵琶湖周辺のオオガタスジシマドジョウや山口県のヤマトシマドジョウと近縁であることが示唆されていますが、形態的には大きく異なります。

現状と保全

タンゴスジシマドジョウは生息個体数が非常に少なく、そのため商業的な利用はされていません。また、国内希少野生動植物種としての指定を理由に、捕獲や取引には厳格な規制があります。現在確認されている生息地は限られており、環境変化に対して非常に敏感です。絶滅危惧IA類に分類されており、保護が強く求められています。

今後も本種に対する研究が進むことが期待されており、その特異性から生物多様性の保全の観点でも重要な存在として注目されています。

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